活発な「共創空間」のデザインとは ロフトワーク、岡村製作所他

組織の壁を超えて異質な人材が集まる「共創空間」を、企業が相次いでオープンしている。新事業などの価値創造が狙いだが、空間は作ったものの成果が出ないという声も多い。活発な共創空間はどのようにデザインすれば良いか。実践者たちが話しあった。

17世紀ロンドンのギャラウェイ・コーヒー・ハウス。共創空間の元祖とも言える空間

会社の部署間の垣根を超えて、あるいは社外の企業や個人とともに、オープンな空間でアイデアを出しあい、イノベーションや新しい価値創造を目指す「共創空間」が注目を集めている。

「フューチャーセンター」「クリエイティブオフィス」「オープンイノベーションラボ」「コワーキングスペース」「ファブスペース」と、その空間に付けられる名称はさまざまだ。欧米では、IBM、アップル、グーグルなどのグローバル企業が従業員の創造性を引き出すためにクリエイティブオフィスをデザインし、政府機関などでも未来のための価値創造の場としてフューチャーセンターを運営している。

こうした動きは日本にも波及し、グローバル化のなかでイノベーション創出を求められる企業や、地方創生や起業家育成を目指す自治体などが、共創空間を相次いでオープンさせている。

しかし一方で、空間はつくったものの活性化しない、アイデアが出てこないという悩みの声も多いようだ。

「活発な共創空間はどのようにデザインすれば良いか」。そんな興味深いテーマで、クリエイティブ・エージェンシーのロフトワークが主催するイベントが開催された。共創空間づくりに取り組むパナソニックや富士通などの大企業の担当者や、空間設計の専門家などが登壇し、活発な議論が行われた。

「オフィスの再発明」のための、空間と活動のデザイン

ロフトワークは大手企業の共創空間のプロデュースのほか、自社事業として、デジタルものづくりに気軽に取り組める「FabCafe」や、伝統的な木材・金属・布から最先端のセンサー機器やバイオ技術まで“素材”がテーマのコワーキングスペース「MTRL」などの運営を行っている。

ロフトワークは大手企業の共創空間のプロデュースのほか、自社事業としてデジタルものづくりに気軽に取り組める「FabCafe」を全国展開している ©ロフトワーク

数々のプロジェクトに関わってきた同社イノベーションメーカーの棚橋弘季氏は「私達が取り組んでいることは“オフィスの再発明”です」と話す。

オフィスの歴史を紐解くと、アメリカの経営学者フレデリック・テイラー(1856-1915)が労働者の科学的管理法を発案し、「職能別組織」や「計画者と執行者の分離」といった概念が生まれ、現在のような島型のオフィスレイアウトや、役員室や会議室などの環境に進化していったという。しかし、「新たな価値創造が求められる時代に、果たして現在のオフィスは最適と言えるのか」と棚橋氏は問いかける。

そもそも、オフィスの源流は17~18世紀にイギリスで流行したコーヒー・ハウスだと言われている。人と知識が集まる社交場として機能し、そこでの活発な議論から民主主義の基盤が形成され、また、株式会社や保険などのイノベーティブな事業が生まれていった。まさにオープンイノベーションの元祖であり、昨今の共創空間づくりは、コーヒー・ハウスへの原点回帰とも言えるかもしれない。

「組織の枠を超えた新たな価値創造を実現するには、空間だけをつくっても駄目で、同時に“活動”のデザインが大切です。既存の空間や活動に縛られず、まだ名前のない空間や活動を、実験的に追求していく必要があります」

棚橋 弘季 ロフトワーク イノベーションメーカー

例えば、ロフトワークではFabCafeなどで、さまざまな題材でワークショップやハッカソンを開いている。最近では、バイオテクノロジー領域でバイオ技術者と異分野のプロフェッショナルによるオープンイノベーションを目指した「BioClub(バイオクラブ)」というプロジェクトをスタートさせた。

「これらは、仕事とは異なるし、遊びとして参加している人もいる“名前のない活動”です。多様な人が交わり実験をすることで、新しい価値のつくり方が生まれると思っています」

空間づくりでは、目的と手段の取り違えに注意すべきだ。例えば、オフィスの中にゴルフのグリーンや滑り台など、“遊び”の要素を取り入れること。あるいはテレワークやフリーアドレスなどのシステムを導入すること。「私達も場合によって、そういった手法を使うこともありますが、それが全てではありません」(棚橋氏)

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