ヘルスケアで成功する方法 中小・ベンチャーにも大きなチャンス

ヘルスケアビジネスに参入し、成功をおさめるには何が重要なのか。数多くの中小企業、ベンチャーのヘルスケアビジネス開発に携わってきた西根英一氏が、あるべきマーケティング戦略を解説する。

西根英一(マッキャンヘルスコミュニケーションズ CKO(最高知識責任者))

今、ヘルスケアビジネスは中小企業やベンチャー、そして町の商店に至るまで誰でもスタートできるようになりました。

象徴的なのが、2015年春に始まった「食品機能性表示制度」です。これにより、素材・食材が持つ健康機能性の根拠(エビデンス)を消費者庁に届け出ることで、野菜、果物、魚介類など生鮮品にも健康表示が可能になりました。つまり、地域の特産品を健康食品として売り出せるようになったのです。

市場セグメントをどう見るか

図1 ヘルスケアビジネスの12マス

©2016西根英一|Eiichi Nishine

 

それでは、実際に売れる商品・サービスをつくり出すには、どうすればいいのか。単に自社の資産となるシーズだけで始めても、失敗する確率が高まります。まずは、市場において自社がどのポジションにいるのかを知ることが重要です。

市場セグメントを考えるうえで、私が活用しているのが、横4マス×縦3マスのマトリックスを用いる手法です(図1参照)。

ヘルスケアの領域は多岐にわたり、「治療」、「予防・保健」、「健康」、「美容」の4つに分類できます(図2参照)。


図2 ヘルスケアのメニュー一覧

©2016西根英一|Eiichi Nishine

 

その4つをマトリックスのヨコ軸に置き、タテ軸には、商材のカテゴリーとして「商品」、「サービス」、「施設」の3つを置きます。こうすると12のマスが生まれ、「自分たちはどのセグメントでビジネスを始めるか」を整理することができます。

参入後には、そのマトリックスの中で、事業をタテ展開するか、それともヨコ展開するかを考えます。私は、タテ展開のほうが成功しやすいと考えています。その顕著な例がタニタです。

どの領域に事業を拡大するか

タニタは身体の計測機器を扱っており、「予防・保健×商品」領域でビジネスを展開していました。そこから疾病予防の生活指導プログラムという「サービス」を生み出し、さらにはタニタ食堂という「施設」へとタテ方向に事業を拡大したのです。そして、タニタ食堂からは健康メニューという新たな「商品」が開発されるなど、「予防・保健」領域でビジネスを強化する循環ができています。

一方、ヨコにビジネスを拡大する場合は、制度導入や規制緩和のタイミングがチャンスです。例えば、「食品機能性表示制度」は、「予防・保健」領域でトクホ(特定保健用食品)が担っていた食品のビジネスがヨコに広がり、「健康」や「美容」でも可能になったことを意味します。

また、経済産業省が打ち出した「健康経営」は、「治療」、「予防・保健」、「健康」の3つの領域で、新たなビジネスを生み出しています。

失敗しやすいのは、タテでもヨコでもなく、斜めや飛び石で展開してしまうケースです。

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