豪華な返礼品より「使い道重視」 地域応援団を集める共感型施策

豪華な特産品で人気の高い「ふるさと納税」だが、本来の目的である地域活性化で思うような効果が得られないと悩む自治体も散見される。ふるさと納税のあるべき姿と今後の展望を、総務省自治税務局の川窪俊広課長に聞いた。

故郷や地元など、応援したい自治体に寄附ができる「ふるさと納税」。豪華な特産品がもらえることから知名度は全国区に広まり、空前のブームを巻き起こしている。2015年度の税制改正では控除額が拡充された他、寄附先が5自治体までなら確定申告が不要になる「ワンストップ特例制度」が新設。さらに、インターネットでのクレジットカード決済も普及し、自治体にとってわが町のPRツールとして活用しやすい環境が整ってきた。

しかしその一方で、自治体間の返礼品競争を問題視する向きもある。総務省自治税務局 市町村税課長(取材当時)の川窪俊広氏は「ここ数年で、認知度が急速に高まっていることを喜ばしく思います。ただ、返礼品は寄附に対するキックバックではないことに注意して欲しいですね」と指摘し、こう続ける。

「ふるさと納税した人へのお礼の品は、自治体にとっての“応援団名簿”に載った人に対する特産品のPRです。寄附金を集めて終わるのではなく、寄附してくださった人を応援団と考え、そのみなさんに地域の特産品を試供品として送ることで、購入につなげるという流れを作ろうという取り組みです。先進的な取り組みをしている自治体のなかには、販路が拡大されたり、地域に眠っていた資源が商品化されるといった好事例が生まれています」

川窪 俊広 総務省自治税務局 市町村税課長(6月17日付で、自治税務局 都道府県税課長に異動)

使い道を明確に示すことが継続的な寄附へのカギに

今では多くの自治体で返礼品が拡充され、品物の豪華さで競うことが難しくなってきた。ふるさと納税は安倍内閣が掲げる地方創生戦略の一環であることを鑑みれば、フォーカスを当てるべきは返礼品ではなく寄附金の使い道にあると言える。

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