ジョイントベンチャー設立の契約は、もめたときの視点が重要

前回に引き続き提携の話題の中から、ジョイントベンチャー(合弁事業体)を設立して事業を行う場合の合弁契約について、特に重要なポイントを取り上げる。

合弁契約における重要な点

契約書を締結する目的は?と聞かれた場合、皆さんは何とお答えになるだろうか。売買であれば、代金がいくらで、それをいつ支払ってもらうかということを明確に書面にしておく目的と答えられる方も多いだろう。しかし、これは法律家の視点から見ると、極端ではあるが、100点満点中10点程度の点数しか与えることができない。

もちろん、例えば、売買契約であれば、どのような物が売買の対象で、その代金がいくらで、いつまでに納品して、代金の支払いがいつになるかという条件を書面にして明確にしておくことは重要ではある。しかし、契約書にするという点で、一番重要な視点は、もめたときにどうなるか、という視点だ。この視点は、どのような契約書を作成する際にも、最も重要な視点といっても過言ではない。

もめたときにどうなるか、当方によって有利な結果を得られるかという視点を持って契約書を作成しておけば、実際にもめたときでも、自分たちに有利な結果で紛争を解決することができる。さらには、もめたときのことが契約書においてあらかじめ明確になっていれば、契約の両当事者も契約書の記載を見て、この論点はこのように処理されると契約書に書いてあるからこのようにしかならないなと思い、両当事者の間でもめるような議論となる可能性を低減することもでき、未然に紛争が先鋭化する事態を予防することもできるのだ。

これからお互い契約をして事業をやろうとしているときに、もめるときのことを想定するのはおかしいのではないかとお思いの方もおられると思われる。裁判をご経験された方はお分りかと思うが、裁判を遂行することには大変な労力が必要となる。

反論の書面を出すために、過去の事実を確認する作業をした上で弁護士の打ち合わせを毎月のように行うことが多く、証人尋問まで行けばその打ち合わせには大変な労力が必要となってしまう。本業に影響が出るような場合も珍しくない。したがって、紛争が起こらないようにするということは非常に重要なことであり、そのために契約書を作成するという視点が欠かせないと言える。

今回のテーマである合弁契約というのは、このようにもめたときにどうするかという視点で契約書を作成するという点が、ほとんどすべての条項に当てはまってくる。

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