2015年5月号
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地方創生の発・着・想

エース級の若者を地方にUターン 「若鮭アカデミー」構想

児玉光史(地元カンパニー代表取締役)

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地方創生を実現するまでには、数多くのハードルが存在する。本連載では地方創生の現場から、課題の本質を浮き彫りにし、解決策を考察する。第一回目のテーマは「人材還流」。
文・中嶋聞多 事業構想大学院大学 事業構想研究所長

 

連載にあたって

今日、安倍内閣が国をあげて「地方創生」に取り組みはじめたことは、まことに時宜を得たことである思う。一部にはばらまき行政だと批判するむきもあるが、私はこの施策を、日本という国の屋台骨を今一度つくりなおすラストチャンスととらえている。変革はつねに周辺からおこる。この国を今一度イノベーティブにするために、「地方創生」は不可欠だ。

ただ、昨年末に発表された国の総合戦略やアクションプランを読むと、どこか総花的で、他人事のような感覚をもつ。もとより担当部局の方々が、できるだけ現場の声をひろおうと全国各地に足を運んでいることは承知している。だが、それらが戦略にまとめられ、KPIなどの数値におきかわったとき、現場で遭遇する生々しい課題や解決アイデアが、ぽろぽろとこぼれ落ちているように思えてならない。

とはいえ、東京にある小さな大学院大学になにができるのか。ひとつ思いついたのは、それぞれの現場で「地方創生」に取り組んでいる方々との創造的な対話(creative dialog)を通して、課題の本質を浮き彫りにし、解決策をともに考え、共創することであった。この連載は、そのような趣旨のもとではじまる、われわれ自身の挑戦である。

 

「地元のギフト」は地域の人が自ら出品者を探し、取材する。新しい地元コミュニティ形成のツールとして全国に広がっている

2012年に設立された地元カンパニーは、渋谷と代表の児玉光史氏の出身地である長野県を中心に、地域活性化事業に取り組むベンチャー企業。「地元の担い手を増やす」をコンセプトに主要事業は二つ。一つは、地域産品をラインナップしたカタログギフトを地域毎につくる「地元のギフト事業」。もう一つは、地方へUターンする若者を増やす「若鮭事業」だ。

児玉光史 地元カンパニー代表取締役

人と人を繋ぐ「地元のギフト」

地元カンパニー代表の児玉氏の実家は、長野県のアスパラ農家。東京大学農学部を卒業し、IT企業に勤めた後に起業したのは、「東京で実家のアスパラを売り出したのがきっかけ」という。

2007年、東京で暮らす農家の息子=セガレと娘=セガールを集め、「セガレ・セガール」というコミュニティを作り、実家の農産物の販売を始めた。「活動を続けるなかで、地元に愛着を持ち、地元との関わりを欲している人の多さに驚きました。ここに新しい事業の可能性を感じたのです」

児玉氏は長野のアスパラ農家で生まれ、2012年に地域活性をテーマに起業した

そこで始めたのが、出身者が自分の地元を気軽に応援できる仕組み、「地元のギフト」だ。同事業は、地元カンパニーと地域のパートナー(地元の出品者(つくり手)をとりまとめる個人や団体)との二人三脚で運営される。

地域のパートナーは出品者を探し、出品を要請。出品者に取材し、ギフトカタログを制作する。「カタログの制作は弊社で管理しますが、取材は地元の方にしていただいています。より気持ちがこもったカタログになるのと同時に、地域の方自身が地元の良さを再発見することに繋がるからです」

「地元のギフト」を作り上げることは、人と人との縁をつなぎ、新しい地元コミュニティ形成の一助にもなる。「地域を元気にするということは、人と人とを少しずつ繋ぎ、心情的、経済的な輪を同時に作っていくことだと思います」

現在、青森県南部町、福島県西会津町、宮城県女川町、長野県塩尻市・上田市、名古屋市、京都府、神奈川県小豆島など多くの地域が参加している。

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