「神山ラボ」で進む実験 過疎地を舞台に「働き方」を変革
既成概念にとらわれることなく、働き方の革新に挑むITベンチャー・Sansan。徳島県神山町にある古民家にサテライトオフィスを開設。新しいワークスタイルに挑戦し、生産性の向上を実現している。
地方への移住や二拠点居住、リモートオフィスの活用など、新しい働き方を模索する動きが、さまざまなところで始まっている。しかし、抜本的な働き方の変革にまで踏み出した企業は、まだ多くはない。そうした中、挑戦的な試みで注目を集めているのが、Sansanだ。
目的は、あくまで生産性向上
Sansanは、世界初の法人向けクラウド名刺管理サービス『Sansan』を手がけ、現在、2000社を超える企業が導入しており、個人向けアプリ『Eight』は50万人以上のユーザーを持つ。東京都渋谷区に本社を構えるSansanが、徳島県神山町の静かな山里にサテライトオフィス(通称:Sansan神山ラボ)を構えたのは今から4年前のことだ。
「もともと、社内には最適なオフィス環境づくりにチャレンジしようという気運がありました。社長の寺田(親弘)から神山ラボの話が出たときも、『ビジネスの出会いを資産に変え、働き方を革新する』という当社のミッションとも直結する取り組みなので、特別、驚きはしませんでした」と振り返るのは、Sansanの取締役CWO(チーフ・ワークスタイル・オフィサー)角川素久氏だ。
このCWOという役職自体、まさに経営レベルで働き方を革新するミッションを達成するために設けた、Sansan独自の役職である。
「まずはエンジニアが約1ヵ月間、神山ラボに滞在した結果、東京と違って通勤によるストレスもなく、心身の働きや創造性などが活発化する転地効果を実感し、生産性が高まることを確認しました。生産性向上の効果に個人差があるのは確かですが、営業、マーケティング、人事、広報などの担当が滞在しても、同様に成果が上がることがわかっています」
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