2014年8月号

社会イノベーションの起こし方

社会イノベーションは事業アイデアの宝庫

岸波宗洋(事業構想大学院大学事業構想研究科准教授、事業構想研究所教授(兼任))

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法改正や新法の制定で、社会の枠組みは大きく変わる。事業家には変化を見極め、チャンスを見出す視点が必要だ。本特集で取り上げた3つの法案・構想を総括する。

岸波 宗洋 事業構想大学院大学 事業構想研究科准教授、事業構想研究所教授(兼任)

今回の社会イノベーション特集は、法改正や新法制定を起点として新たなビジネスを構想する、企業内イノベーションを目指す諸氏、起業を志す諸氏、そして地域活性化を願う諸氏に向けた、大いなるビジネスチャンスの提示だ。

実は、法改正や新法制定のように我々の生活にとって影響力を持つ出来事は、そう多くはない。2014年度通常国会において提出された法案は内閣提出が81件におよび、税・医療・行政制度の改編や電気事業法改正による電力小売自由化、小規模企業振興基本法によるベンチャー活性化など、各省庁から多様な法案が提出された。

今回、今年度の通常国会に限らずビジネスシーンに大きく関わるであろう事案をピックアップし、そのキーパーソンに話を伺った。

IR法案の岩屋毅衆議院議員、サイバーセキュリティ法案の平井卓也議員、また、安倍内閣の標榜する成長戦略の柱ともなり得る起業大国NO.1構想の平将明議員などである。これら法案や構想は、日本経済を変える大きな原動力となるテーマでもある。

法案に潜むビジネスチャンス

IR法案(通称カジノ法案)は、今年度通常国会内で急遽提出された(6/19時点)。国内外の観光需要を増やし、地域振興、活性化、再生を現実のものとする礎(いしずえ)となる可能性を秘めており、アミューズメント系企業も巻き込んだ壮大な地域観光ビジネスを促進するものであろう。新たな統合型リゾート施設の可能性や高付加価値型「おもてなし」サービスを体現する場であり、様々なベンチャー企業創出のインキュベーター志向も兼ね備えている。IR実施法制定後の導入地域選定に際して、既に幾つかの自治体等諸団体が準備組織を立ち上げ、いち早く画策を進めている。

起業大国NO.1構想については、今までのベンチャー政策とは一線を画す壮大な起業支援構想である。エンジェル税制の抜本的改正やクラウドファンディングなど投資環境の充実とともに、「起業大国フラッグシップ特区」という経済特区構想により、今までにない自由な革新的商材の生産、流通、消費を促す。これは、IR法案のように地域活性化や再生を強力にサポートすることになる。また、「ソーシャルビジネス法人」のような法人格の多様性を促し、各々の業態のメリットを発揮できる環境を想定している。起業家は、この情報を逃してはならない。

サイバーセキュリティ法案は、昨今様々なサイバー犯罪やネットモラルの低下が叫ばれる中、2020年に東京オリンピックを迎える日本にとって、ITの大きな転換点となる。ロンドン五輪での2億回以上のサイバー攻撃のように、サイバーセキュリティは待ったなしの課題である。そして、その環境、体制を築くことが大いなるビジネスチャンスに変わる。平井議員の言うように10万人以上のサイバーセキュリティ人材の雇用創出が想定され、現状のサイバー人材育成方法を抜本的に捉えなおすことで、人材需要をカバーすることができるだろう。既存の情報監査系企業はもとより、SIerやソフトウェアハウス、コンピューターメーカー、情報家電メーカーなどが相まって、新たなサイバーセキュリティ人材の創出と雇用を支えなければならない。

岸波 宗洋(きしなみ・むねひろ)
事業構想大学院大学事業構想研究科准教授、事業構想研究所教授(兼任)
青山学院大学総合研究所研究員、コモンズコンサルティングパートナーズ取締役社長等を経て現職。戦略コンサルティングを中心に、国内大学初の経営コンサル会社設立や各種企業との事業提携等を実践。学際では、スタンフォード大学との遠隔ビジネス教育における国際共同研究等を推進。
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