挑戦する伝統工芸 新市場を拓く

青森県はブナの蓄積量で日本一。ブナコ株式会社は、この資源を活用した木工品ブランド「BUNACO」を展開。多くの苦難を乗り越え、海外でも知名度を高めている。

美しい木目の層が重なる独特のフォルム。BUNACOはその高いデザイン性が評価され、国内の高級ホテルや百貨店などに次々と採用されている。

インテリア業界でBUNACOの存在が知られるようになったのはここ10年程だが、県民には昔から知られている工芸品だ。ブナの蓄積量日本一の青森県で、その資源を活用すべく1956年に青森県工業試験場で考案された技法で、テープ状にしたブナ材をぐるぐると巻いて形にしていく。

製造しているのは、弘前市のブナコ株式会社(旧:ブナコ漆器製造)で、創業は1963年。現在の社長、倉田昌直氏は創業者の父の後を継ぎ、二代目として経営を切り盛りしている。

会社設立当初は、食器用漆器の製造を主体に事業を行っていた。ギフトとしての需要が高く、県内はもとより首都圏の百貨店でも売り上げは順調。倉田社長が会社を引き継いだ翌年の1981年には、新商品「茜の器」を発売、店頭に並ぶとじわじわと取扱店が増えた。バブル崩壊でデパートギフトが下火になった時でさえ、売れ行きは安定して伸び、増産体制を整えるべくベトナムに工場視察に通っていた程だった。

食器事業の不振から照明市場へ参入

ところが、1998年頃から急に売り上げが落ちた。焦って色やデザインを変えた新商品を立て続けに出したが売れない。

倉田社長は当時の苦しみを振り返る。「店頭の設置スペースは限られるから以前の商品は下げることになるし、新商品も売れなければ戻ってくるからそれだけで何百万円とマイナスが増える。シェアが大きかった分、痛手も大きかったですね。そのうち銀行からも『これ以上は融資できない』と言われ、思わず弟に『会社、ダメかもしれない』テープ状のブナを巻き上げ、食器やインテリアに加工するとこぼしてしまったのです」

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