2014年5月号
購読申込み のあとに ログイン していただくと全文をご覧いただけます。

経営の盛衰は知財にあり

商標・意匠権は特許に勝る

山本秀策(山本秀策特許事務所代表)

0
​ ​ ​

2012年8月、サムソンがアンドロイドを使用していたことから、サムソンがアップルを侵害しているとの認定で約10億ドル(約1000億円)の支払を命じられた。実は、1000億円の中味は、意匠権侵害によるものだった。特許侵害による賠償額は、そのほんの1%の10億円にすぎなかったということだ。

7.意匠戦略

7.1 意匠が発明を救う

特許戦略の基本的なこととして知っておくべきは、特許のもとになる発明とは何だということだ。「発明とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度なものをいう」と特許法は定義し、「高度でない技術的思想の創作」を除外している。除外された「高度でないもの」は実用新案という形で保護されるものの、それは単にレベルが高いか低いかであって、あくまでも技術的思想の創作という発明と同じ面上にあるということ、そして実用新案権の存続期間は出願日から10年と短いということから、実用新案の利用は必ずしもお勧めできない。

それに対し意匠は技術的思想とは無縁で、「物品の形状、模様、色彩」という人の感性に関し、その意匠の創作者が意匠権を手に入れる。意匠権は登録日から20年。ゆえに、発明では補えない「高度でない技術的思想部分」を意匠として捕らえる工夫をし、意匠権を手に入れて、本丸の特許をこの意匠で防御するということが、今後は、特に有効な手法だろうと筆者は考える。

それを絵に描いたような事件がある。コンクリート構造物の接続具に石川島建材工業が自己の特許権と意匠権を侵害するとして明電セラミックスを東京地裁に提訴した(2002年9月)。地裁は特許侵害の主張を退け意匠権侵害を認定して明電セラミックスに接続具の製造販売の中止と廃棄を命じた。

特許請求の範囲の中の「テーパ」をいわゆるテーパとは解釈されなかったため特許侵害品とはいえないと認定されたものの、意匠権はその「テーパ」形状をその形状通りに認定された結果、意匠権侵害と判断された事件だ。まさに技術的思想の創作とは認定されない程度のレベルのものであっても物品の形状として表示され得る限り意匠権の対象となる。この事件は、特許の技術的思想を意匠が補てんしてくれるという好例だ。

アップルとサムソンがiPadとiPhoneの特許侵害訴訟をカルフォルニア連邦地裁で争った。サムソンがアップルを侵害しているとの認定で約10億ドル(約1000億円)の支払を命じられた。2012年8月のことだ。1000億円の中味は、実は、意匠権侵害によるものだった。特許侵害による賠償額は、そのほんの1%の10億円にすぎなかったということだ。

残り69%

0
​ ​ ​

バックナンバー

メルマガで記事を受け取る

メルマガ会員限定で、
ピックアップしたオンライン記事を
毎日お届けします。

以下でメルマガの登録ができます。

購読申し込みで全記事が読める

2018年4月号「SDGs×イノベーション」完売!

会員になって購読すれば、バックナンバー全記事が読めます。PC・スマートフォン・タブレットで読める電子ブックもご用意しています。

バックナンバー検索

注目のバックナンバーはこちら

最新情報をチェック。

会員になると 最新「事業構想」が読み放題。さらに

会員の特典をもっとみる