ITを使った問題解決能力に課題

日本の学力格差は、国際比較すればとても小さく、しかも若者の能力低下は見られないどころか高い水準を保っている。しかし、グローバル時代に必須のITを使った問題解決能力は、相対的に低い状況にある。

OECDは、2000年から生徒の学習到達度調査(PISA)を実施しているが、それに続いて、2012年から国際成人力調査(PIAAC)を開始した。2013年11月7日OECD本部における労働者側諮問委員会(TUAC)でのアンドレア・シュライヒャーOECD教育次長の報告資料を手がかかりにして、日本人の能力習得と職場におけるその使われ方について紹介したい。なお、資料の日本語訳は文部科学省により、表は筆者が作成した。

国際成人力調査の正式名称は「成人コンピテンス国際調査計画」であるが、報告書は「成人スキル調査」となっていて、どちらかというと日本人が慣れ親しんでいる学力調査に近い。その学力を5段階評価して比較し、雇用との関係を分析している。

まず、学力格差は、賃金への影響が最も高い。日本の特徴は、学力が雇用を保障したり、他人への信頼感をほとんど高めておらず、健康への配慮やボランティア参加もあまり高めていない。日本人が身に付けた高い学力は、一部の者だけに高賃金を保証するが、雇用を保証するものでもなく、人間性や社会性を高めているわけではないという傾向のようだ。(OECD. OECD Skills Outlook 2013: First Results from the Survey of Adult Skills. OECD, Paris,2013,27.以下、英文報告書と略す)

さらに、学力と所得のとの関係をとりだしてみると、日本は、学力格差がとても小さい国で、収入格差は世界平均並である。米国は、スキル格差も収入格差も大きい、というようなことがわかる。(英文報告書245ページ)デジタル環境における問題解決力(国立教育政策研究所編『成人スキルの国際比較―OECD成人力調査(PIAAC)報告書』明石書店、2013年、123~124ページ。以下、日本語報告書と略す)を成人労働者全体と若年労働者とで比較すると図のようになり、数値を取り出すと表1のようになる。なお、この領域は、3段階評価になっている。

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