社内の「構造的ジレンマ」に挑む

日本では、経営資源が圧倒的に大企業に蓄積されており、社内ベンチャーがイノベーションの牽引役にならなければ、日本の産業の将来は無い。社内ベンチャーを成功に導くための課題は数多い。それでも、やれなければならない。

米国においては80年代には社内ベンチャーが話題になっていた。3Mのポストイットの開発のケースなどが好例である。90年代にはeビジネスブームの勃興とともに、「イノベーションの担い手はベンチャー企業であり、それを支援してきたベンチャーキャピタルであり、また、大企業は成功したベンチャービジネスをM&Aすることでイノベーションの果実を手にする」という考えが強まった。

ところが2001年のITバブルの崩壊以降、その社会的メカニズムが機能しなくなりオープンイノベーションや社内ベンチャーの復権などの模索がなされてきた。日本では相変わらず大企業がイノベーションの役割を担ってきたが、多くの会社で新規事業部隊はあまり輝いていないように見える。

産業力向上へ大企業への期待

ベンチャーキャピタルは数や金額だけ見れば、80年代、90年代から比べれば飛躍的に増えたが、肝心のベンチャー企業は上場時最高値以降低迷がお決まりのパターンというお粗末な状況であり、新卒学生の相変わらずの大企業志向のため、期待されたほどの役割を果たすに至っていない。

ベンチャー、特にハイテクベンチャーが育っていない以上、イノベーションをM&Aに頼るわけにはいかないので、日本の産業の競争力を考えると、やはり社内ベンチャーは非常に重要なのである。ヒト・モノ・カネ・情報のすべてに渡ってのリソースは圧倒的に大企業に蓄積されているので、社内ベンチャーがイノベーションの牽引役にならねば日本の産業の将来は無いのである。

一筋縄ではいかない数々の問題

これほど重要であるにも関わらず、社内ベンチャーが見事に機能している会社というのは寡聞にしてその例を聞かない。なぜ多くの日本の大企業において社内ベンチャーはなかなか上手くいかないのか、あるいは、そもそも社内ベンチャーというものは一筋縄ではいかないものなのか。

筆者は院生と一緒に事業開発の「達人」(複数の会社で事業を立ち上げた人、多くの社内ベンチャーを見てきたコンサルタント、多くのベンチャー企業に出資してハンズオンで関わってきたベンチャーキャピタリスト等)の頭の中がどうなっているかの定量的に把握する研究を行っている最中だが、その中から見えてきた数々の問題を下記の一覧にまとめた。

全文を読むには有料プランへのご登録が必要です。

  • 記事本文残り62%

月刊「事業構想」購読会員登録で
全文読むことができます。
今すぐ無料トライアルに登録しよう!

初月無料トライアル!

  • 雑誌「月刊事業構想」を送料無料でお届け
  • バックナンバー含む、オリジナル記事15,000本以上が読み放題
  • フォーラム・セミナーなどイベントに優先的にご招待

※無料体験後は自動的に有料購読に移行します。無料期間内に解約しても解約金は発生しません。