遺伝子による疾患リスク診断、そして判断

遺伝子チェックのサービスが注目を浴びている。わずかな作業で、自らの様々な遺伝的特徴、疾患リスクが判明する。そして、疾患リスクに対して、意識的に対応を図っていく―。オミックス(ゲノム)解析の先駆者、林崎良英氏に遺伝子分析を中心としたこれからの予防医療について聞いた。

医療現場の新しい概念、予防医療

今年4月、理化学研究所が新たに新設した「予防医療・診断技術開発プログラム」の初代プログラムディレクターに就任した林崎氏は、「今後予防医療の占める割合は高まっていくでしょう」と予言する。予防医療とは具体的にどういったものを指すのだろうか。

「現在、医療現場で主流に行われている概念は、疾患モニタリングと呼ばれるものです。疾患モニタリングとは、今、患者自身の体に何が起きているのか。つまり癌でいえば、癌にならないような対策を施すのではなく、癌になっているかどうかを早期に調べるのです。そういう意味で、ガンマーカーを使って血液を調べ癌細胞がないかを調べる癌の予防検診なども、もちろんモニタリングに入ります。それに対して疾患発症前に治療介入まで行う先制医療、予防医療というのは新しい概念と言えます。患者がこの先、疾患にかかるリスクを調べるわけです」。

ゲノム解析による遺伝情報上の疾患リスク

予防医療の有名な例といえば、先日、世界の話題となった米国の女優アンジェリーナ・ジョリーがあげられる。

家族歴があり、遺伝子検査により乳がん発生のリスクが87%と診断された彼女は、癌の発症前に両乳腺切除手術を行ったのだ。

「予防医療というと大きな世界では、ノロウイルスなどに代表される院内感染の予防といったことも入るでしょう。

予防医療の中でも私たちは、遺伝子診断による疾患リスク判定システムの開発を行っています。ゲノムは人体を作るための遺伝情報のことですが、、これは基本的にはその人が生まれてから死ぬまで変わらないんですね。同じ人間が受精卵のときも100歳になったときも、ゲノムは同じ配列なのです。例えば、ハンチントン舞踏病は30代に発症する現在のところ発症後致死率100%の難病ですが、発症するかどうかのリスクファクターはゲノム解析により生まれたばかりの赤ん坊からでも見つけることができます」。

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