オバマケア、日本へも影響

オバマ米大統領が就任後、最優先課題として取り組んできた米医療保険制度改革ことオバマケア。この制度改革により、日本のヘルスケア市場にも変革が起こりそうだ。

今年5月、ホワイトハウスで医療保険制度改革、通称「オバマケア」に関しての声明を発表するオバマ大統領。10月開始予定のオンラインの医療保険購入制度などでも攻防が続く 
Photo by Alex Wong/Getty Images

新たに創出される3200万人の顧客

米・医療関連業界は、現在、3200万人の新規顧客の獲得を見込んでいる。

通称「オバマケア」と呼ばれる医療保険制度改革により、新規に加入すると推測されている保険加入者数だ。

米国では、医療費高騰による経済への悪影響や保険未加入者数の増加が問題となっている。2010年には米国の無保険者は米国民の約6人に1人、およそ5000万人にのぼり、現在もなお無保険者数は増加し続けている。これらの無保険者は医療費が支払えないなどの理由で受診を控えるため、病状が悪化してから治療を受ける傾向にある。

その結果、初期段階で適切な処置をしていたら不要であった高額の医療費の負担を強いられ、さらには健康寿命の短縮により、その後の人生で治療に支払う医療費を増加させている。こうした医療費の増大は、医療費の高騰とあいまって、個人の家計を圧迫するだけではなく、企業、高齢者医療保険のメディケアや低所得層向け医療保障のメディケイドを運営する連邦政府や州政府の財政をも悪化させ、悪循環を巻き起こしている。

米政府は、これらの問題を解消するために保険加入者を増やすことを決断。

そのための施策として(1)保険未加入者に対して罰金を科す、(2)保険会社に対して、持病や病歴がある人が保険に加入しにくい現状を改善するため、これらを理由に加入を拒否したり、不当に保険料を高くすることを禁じる措置を講じた。その結果、新たに保険に加入できる米国民は3200万人と見込まれている。

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