2013年8月号
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事業構想とマーケティング

低成長時代に日本がとるべき8つの戦略

フィリップ・コトラー(ノースウエスタン大学 ケロッグ経営大学院 国際マーケティングS.C.ジョンソン・アンド・サンズ記念教授)

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マーケティング学界の世界的権威であり、世界で最も影響力のある経営学者の一人として多くの企業経営者から支持されるフィリップ・コトラー教授が来日し、低成長時代に勝ち残るための戦略的マーケティング、そして日本企業がいまとるべき行動について、スピーチを行った。

日本経済鈍化の理由とこれまでのマーケティングの失敗

70年~80年代にかけて、日本のマーケターは世界の中で輝いていた。車、電気製品、カメラ、時計、バイク、ピアノ、テレビ、ビデオ、計算機など、優れた製品を安価で提供していたことは日本の強みであり魅力であった。これが過去の栄光となってしまった理由は何か。コトラー教授は6つの要因を上げる。

  1. 国内市場への依存度が高いこと
  2. プロモーション依存であり、企業にCMO(チーフマーケティングオフィサー)が不在であること
  3. 商品開発にマーケティング視点が盛り込まれていないこと
  4. 経営の判断が遅いこと
  5. 終身雇用制度と年功序列制度による弊害があること
  6. 株式市場を意識しすぎた短期経営目線であること

多くの企業が課題として認識しながら十分な手を打ってこなかった点である。失敗を恐れる気持ちが成長を遠ざけてきた。日本には良いものを作れば勝てるという考えが根強いが、顧客満足につながるものでなければ意味がない。この状況を打破し、成長するための戦略について、

  1. 製品、ビジネスモデル、流通、コミュニケーション、価格においてイノベーションを起こすこと
  2. アイデアの共創およびクラウドソーシングを行うこと
  3. マスメディアからソーシャルメディアにシフトすること
  4. 戦略的マーケティングの担い手としてCMOを登用すること
  5. 製品ではなくて顧客のことを考えること
  6. ブランドの存在意義を明確にすること

を提唱する。

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従来の考え方、進め方とは違う方向に大きく舵を取ることが求められている現在。製品やサービスのイノベーションにとどまらず、ビジネスモデル自体のイノべーションが問われているのだ。

世界に目を向けても、これまでのマーケティングは、購買力のある20億人しか見ておらず、これらの人を対象にのみ商品を作ってきた。しかしこれからは、残る50億人の人たちに注目することが必要でありチャンスとなる。現在、インドでは安価な製品が大量に供給されている。近年、世界の成長スピードが減速したのは、顧客のニーズに見合うものが提供できなかったと考えるべきだとコトラー教授は指摘する。

視野を広げてみると、ブラジル、ロシア、中国、インドネシア、トルコなど、新興国から新しい多国籍企業が生まれている。先進国の多国籍企業は、古い技術やシステムの延長にあるが、新興国で誕生した多国籍企業は、歴史がない分、最前線からスタートをしている。今後これらの企業が市場を牽引するだろう。

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