三重の経済の現状と、今後の発展への提案
三重県の基幹産業は、製造品出荷額等(11年)全国9位の製造業だ。時代の先端産業の工場が立地し、全国的にみても産業転換が最も上手く進んだ県と言える。しかし、もう1つの重要産業・観光を含め、新たな一手が求められる時代になった。
三重県企業の景況感は、年明け以降徐々に明るくなっているが、仕入れ価格やエネルギーコストの上昇などから、13年は収益が厳しくなるとみる企業も少なくない。アベノミクスの実体経済への効果は、もう少し見る必要があるようだ。
恵まれた立地と物流基盤 全国9位の製造品出荷額
三重県の特徴を一言で現すと、「日本の真ん中あたり」と言える。位置も真ん中あたりだが、47都道府県中面積は24位、人口は22位(10年国勢調査)、事業所数も22位(09年経済センサス)となっている。しかし、「都道府県の魅力度ランキング(ブランド総合研究所)」では26位と、伊勢神宮や鈴鹿サーキット、松阪肉といった間違いなく横綱クラスのスポットやブランドがあるにしてはやや低い。今秋に東京日本橋にオープンする県の「首都圏営業拠点」には、強力なアピールを期待したい。
経済の面からみると、県内総生産は19位(09年度)と、これも中位にある。その内訳(10年度三重県民経済計算)をみると、製造業の占める割合が33.8%と高く、全国の19.6%を大きく上回り、製造業が牽引する産業構造となっている。
製造業の製造品出荷額等(11年)は、全国9位と上位にある。
また、製造業の中で大きな割合を占めるのが「輸送用機械器具製造業」、「電子部品・デバイス・電子回路製造業」、「化学工業」で、日本を支える基幹産業、輸出産業が集積している。
60年代までは、繊維工業と石油化学コンビナートを中心とする化学工業が2本柱であったが、自動車、液晶パネル、半導体メモリー等、時代の先端産業が立地し、地域に協力企業群を形成してきた。全国的にみても産業転換が最も上手く進んだ県であろう。化学工業も製品の高度化が進み、電子デバイスをつくる際に必要になる特殊なガスや薬品、リチウムイオン電池の素材など、先端産業を支える分野が伸び、自動車や電子部品・デバイス産業と有機的に結びついている。
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