京都企業「長寿」の理由

日本企業の特徴として、世界的に見ても長寿企業が多いことがあげられる。わけても、長寿企業の数が多いのが京都である。

創業後100年を超える老舗企業について帝国データバンクが行った調査によると、都道府県別にみた「老舗輩出率」(老舗企業数÷全企業数)で最も高いのが京都府(3.93%)である。その理由について、調査報告書では、①第二次大戦の被害が少なかったこと、②寺社仏閣の支援があり、伝統工芸を守り育てる土壌があったこと、の2点を存続につながった理由としてあげている。同時にあげるべきは、時代の変化に応じて、商品開発から経営手法に至るまで、事業全般を通して柔軟にイノベーションを行い、成功させているという、多くの老舗企業の共通点において、京都企業は最も優れている点だろう。

伝統産業に見る、イノベーションの姿勢とは何だろうか。

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江戸期まで宿場町の酒だった伏見酒

月桂冠の代表的な商品群。
規制緩和後の新商品開発の成果だ

京都の伝統産業の一つとして欠かせないのが、清酒業だ。全国的に名を知られる月桂冠は、今年で創業375年である。

京都の中でも清酒メーカーが集中しているのが伏見である。酒造組合に所属する23の蔵元の中には江戸期に創業した者もあり、古い酒蔵が並ぶ風情ある街並みは、観光スポットとしても人気が高い。

伏見は東山連峰を背景に3つの川が流れ、かつて「伏水」と書かれたほど伏流水が豊富なことから、古くから酒造りが盛んだった。山紫水明と称されるこの地は、平安貴族たちに愛され、豊臣秀吉による伏見城築城後は城下町として繁栄。江戸時代には京と大坂を結ぶ交通要所として発展し、酒蔵も増えていった。今も伏見の酒は豊富な地下水を利用して造られ、まろやかな甘みは、酒造りに適した天然水によってもたらされている。

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