街を深く知ればもっと好きになる

共働き子育て世代の定住人口を増やすためには、街に愛着を持って楽しく暮らす市民を増やし、街の魅力も増すこと。街のファンが増えれば、自治体が働きかけなくても、ファンが街を外に勧めてくれるようになる。

自治体では
全国初のマーケティング課

自治体の人口争奪戦が加速しているといわれている。少子高齢社会で、市民サービスを維持していくには、発展し続ける仕組みづくりが必要である。 その方法は、定住人口増加、交流人口増加、企業誘致など複数あるが、若い世代の定住が増えれば、比較的長い期間安定した市税が期待できることもあり、取り組みを強化している自治体が増えている。

千葉県流山市は、この10年で人口が約3万人増え、30歳から40歳前半の人口ボリュームが最も多い。子どもの数も急増といわれるほど、変化してきた街である。

首都圏は、とりわけ今後急速な高齢化をむかえるといわれており、それは流山市も例外ではない。

その中にあっても、「住みやすい、住みたいまち」として生き残っていくには、自治体にもマーケティングの視点が必要であると、基礎自治体では全国初のマーケティング課を2004年につくったのが、井崎市長である。

自治体でのマーケティングとは、なんなのか。前例がないので、立ち上げていくしかなかったのだが、「売れる仕組みをつくること」であると定義した。

企業などと違って、商品やサービスを販売することではなく、その街にしかない強み、魅力を売る。何を、誰に、どのように売るのか。実はこの部分が重要であり、難しくもある。通常自治体では、対象を絞ることに慣れていない。しかし、予算や人などのリソースが限られていることの多い自治体で、やることを絞るのは必須である。

流山市の場合は、都心まで20分台というアクセスの良さと緑豊かな住環境という強みを活かし、「都心から一番近い森の街」として、首都圏に住む30歳から40歳前半の、共働き子育て世代の定住人口を増やすことで、発展しつづける街を目指した。これは、2004年にマーケティング課ができてから今まで変えていない。

図1 施策とシティセールスの位置づけ

(出典)筆者作成

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