自治体における広報の役割

広報とは、情報提供であると考えている行政職員が相変わらず多い。真摯で丁寧で思いやりのある広報は、情報を媒体として「送り手(行政)」と「受け手(住民)」との間に信頼関係が生じるものである。

広報は、「まちづくりの総仕上げ」である。たとえどんなに素晴らしい「政策=まちづくり計画」を組み立てても、それを住民に伝える広報でつまずいたら何にもならない。ごみ収集のお知らせでも、定期健診のチラシでも、生涯学習講座の呼びかけでも、行政が住民に伝えるには必ず広報という手段を使う。

かつてある自治体で「路上喫煙防止条例」を施行した。それを、次のようなキャッチコピーで住民への周知を図ったのだ。「路上喫煙、マナーを守ろう」。これなどは、行政が税金を使って行う広報としては、最悪のケースである。「路上喫煙は、マナーを守って行いましょう」とも、「マナーを守って、路上喫煙しましょう」とも取れてしまう。

従来、行政は、政策形成にそのエネルギーのほとんどを費やし、広報の機能はあまり重視してこなかった。しかし、地方行政の要点が「住民と行政とのより良い関係を創ろう」という時代になると、その接点としての広報の意義・役割が、改めて重視されることとなった。住民が、行政の考えていること・やろうとしていることを知るのは、広報によってのみなのである。広報能力は、地方自治に関わる全ての者が持つべき意識と実行力である。まさに「広報力が地域を変える」時代となったのである。

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