ヒット作を続々誘致 山形フィルム・コミッションの「おもてなし力」

映像の撮影が円滑に進むよう、陰で支える存在のフィルム・コミッション。山形市は数多くのクリエイターから信頼を得て、観光振興と地域活性化に一役買っている。成功するフィルム・コミッションの運営ノウハウとは?

霞城公園(山形城)での、「超高速!参勤交代」撮影の様子。霞城公園ではこれまでに数多くの作品が撮影されている

アカデミー賞監督を魅了

豊かな自然が残る原風景、荘厳な歴史建造物、そして東京から新幹線で一本という利便性。山形は今、多くの映画・TV関係者が注目する場所だ。

アカデミー監督賞受賞作「英国王のスピーチ」で知られるトム・フーパー監督も山形の風景に魅了された1人。化粧品ブランドSK-IIのテレビCM制作にあたり、数ある候補地の中から山形を選択した。山寺や月山といった風光明媚なロケ地で撮影された美しい映像は、国内にとどまらず世界中でも放送され、世界のクリエイターからも山形が注目されることとなった。

このCMに陰ながら尽力したのが、山形市商工観光部観光物産課内に所属する、山形フィルム・コミッション(FC)だ。フィルム・コミッションとは、映画やテレビ番組、CMなど映像のロケーション誘致にはじまり、撮影の際に必要な許可申請の代行、宿泊や食事、レンタカーなど関連業務の紹介、エキストラの手配と、ロケがスムーズに進むようサポートを行う団体である。1940年代後半アメリカで誕生したこの組織は、撮影の誘致が地域の活性化につながることもあり、今では官民組織として日本全国に存在している。

新たな観光誘致の一環として山形FCが設立されたのは、2005年4月。事務局員の山川渉氏は発足当初から、ロケに関するあらゆる業務を担当し誘致・調整と奔走してきた。

「映像に関しては全くの素人でした。FCの担当になってからは、毎日のように映画を見て、『このシーンを山形で撮るとしたらどの場所がいいだろう?』とシミュレーションしました。そのイメージを持ちながら市内を車で走り、写真を撮って回ったんです。それを繰り返すことで、映像を通して伝えられる地域のよさというものが徐々にわかってきました」

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