米タッパーウェアの破産申請 マルチ商法が直面したビジネスモデル上の課題とは
(※本記事は『THE CONVERSATION』に2024年9月19日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)
米タッパーウェア社は、日本では普通名詞化してしまった「タッパー」として知られるあのプラスチック容器ブランドの元祖である。
ある程度の年代以上であれば、筆者のように週末になると母親が友だちを招いて「タッパーウェアパーティー」を開くのを見て育った人もいれば、このカラフルな容器を、職場に昼食を持参したり、電子レンジ用の容器として使った人もいるだろう。
では、タッパーウェア社が米国で破産申請に至るほどのことがなぜ起きたのだろうか?
タッパーウェアは「マルチレベルマーケティング(MLM)」と呼ばれるビジネスモデルの代表格の一つだ。しかし、そのモデルはデジタル時代になって、新たに深刻な課題に直面することになったのだ。
同社再建の最高責任者が、破産裁判所に提出した書類の中で述べた次の現状が、もっとも端的に言い表している。
「タッパーウェアが何であるかは、今やほとんどの人が知っているが、どこで手に入るかを知っている人は少ない。」
一体、マルチレベルマーケティングとは何なのだろうか?そして、タッパーウェアの終焉は、業界全体にどのような教訓を与えるだろうか?
マルチレベルマーケティング(連鎖販売取引)とは何か
伝統的なマルチレベルマーケティングビジネスでは、製品をスーパーや百貨店の棚に並べて販売することはない。
代わりに販売員を募集し、その販売員が製品を直接個人に売る。この方法では、販売額に応じたコミッションが支払われ、給与ではなく業績に応じた報酬が得られる。
しかし、一般的に彼らが収入を得る方法はそれだけではない。販売員は新たな販売員を勧誘することで組織内のランクが上がり、さらに報酬を得ることができる。この仕組みが「マルチレベルマーケティング」、または「MLM」と呼ばれる所以である。
登場当時、このマーケティング手法にはいくつかの利点があった。
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