経済産業省の概算要求、2025年度は2.3兆円 脱炭素化や中小企業・スタートアップ支援を拡充

【目次】

  1. 経産省、2025年度予算に2.3兆円要求
  2. GXを中心に国内投資拡大を継続、対日投資の拡大も
     2-1 次世代電池や次世代治療など新たな取り組みを支援
     2-2 イノベーション・地域活性化を目的とした対日投資案件の誘致
  3. イノベーション・新陳代謝の加速
     3-1 イノベーションエコシステム構築、AI等活用に向けた事業環境の整備
     3-2 グローバル市場の形成・獲得
     3-3 ヘルスケア系スタートアップやクリエイター育成を支援
  4. 国民の所得向上(中小企業支援)
  5. サイバー対策や福島復興に注力
  6. 税制改正要望のポイント
     6-1 中小企業経営強化税制の拡充及び延長
     6-2 中小企業投資促進税制の延長
     6-3 中小企業者等の法人税率の特例の延長

経産省、2025年度予算に2.3兆円要求

脱炭素化に重点、GX推進対策に約9800億円計上

8月30日、経済産業省の令和7年度(2025年度)概算要求が公表された。一般会計、特別会計のほか、グリーントランスフォーメーション(GX)推進対策費(9818億円)など、2024年度当初予算から約2割増の2兆3596億円を要求した。

経産省の2025年度概算要求の内訳の表
経産省2025年度概算要求の内訳(※画像クリックで拡大) 出典:令和7年度経済産業省関係概算要求等概要

イノベーションの加速など7つの主要方針示す

2025年度概算要求において、同省は、現在進めている経済産業政策に関連して、以下7つの主要方針を示した。

  • 国内投資拡大の継続・対日投資の拡大
  • イノベーション・新陳代謝の加速
  • 国民の所得向上
  • GXの実現とエネルギー安定供給の確保
  • 経済安全保障の確保
  • 大阪・関西万博
  • 経済社会の基盤を支える最重要課題

この記事では、概算要求のうち、中小企業やスタートアップ企業の取り組みに直結する部分に焦点を当てて紹介する。

GXを中心に国内投資拡大を継続、対日投資の拡大も

GX・脱炭素エネルギーでは、2024年度から29.1%増の1兆2487億円を要求した。2040年を見据えた国家戦略「GX2040ビジョン」やエネルギー基本計画の改定に際し、エネルギーの価格上昇リスクや供給途絶リスクへの対応、貿易収支の悪化からの脱却などを目的に、GX・省エネ投資の推進に加え、再エネ・原子力など、エネルギー自給率向上に資する脱炭素エネルギーの供給拡大に向けた事業環境整備などを進めていく。

その中で、エネルギー対策特別会計(エネ特)として、「中小企業等エネルギー利用最適化推進事業費」に、32億円(前年度10億円、以下同)を充て、エネルギー利用最適化診断や地域プラットフォームの構築など、中小企業のエネルギー利用最適化を推進するための支援を行う。

また、新規事業として、低炭素水素等の社会実装の推進に向けて、「次世代燃料の生産・利用技術開発等事業」として、84億円を充てる。

次世代電池や次世代治療など新たな取り組みを支援

デジタル基盤技術や自動車、バイオ産業分野では、3398億円(2908億円)を要求。半導体サプライチェーン強靭化に向けた研究開発の支援や、各地域での工業用水などの基盤インフラの有効活用・整備・強靱化を進めるほか、電動車普及に向けた車両購入・インフラ整備や、蓄電池の製造基盤の確立、次世代電池の実用化に向けて必要な支援、バイオ医薬品や再生・細胞・遺伝子治療分野の支援を進める。

バイオ産業支援の枠組みでは、以下の2事業を行う。

    • 次世代治療・診断実現のための創薬基盤技術開発事業:58億円(53億円)
    • 再生医療・遺伝子治療の産業化に向けた基盤技術開発事業:39億円(38億円)

イノベーション・地域活性化を目的とした対日投資案件の誘致

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