高温排液とボイラー排気を有効活用 染色工程の脱炭素とエネルギー効率化

(※本記事は経済産業省近畿経済産業局が運営する「公式Note」に2026年3月18日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)

染色で発生する熱を活用して省エネ -吉田染工株式会社

高温排液とボイラーの排気熱を熱交換して活用

吉田染工は、大量の水と高温の熱を扱う染色事業の特性上、エネルギーやCO2を多く消費、排出しているという意識がありました。自社でできる対策として、給水温度を高めてからボイラーに供給することで燃料消費を抑え、省エネ、CO2削減につながります。

染色工程で発生する高温排液の熱を回収する装置は30年前の新工場開設時から設置しています。まず、染色後に出る高温排液を集約し、熱交換器で「きれいな水」と熱交換して温水化します。この温水はタンクに蓄え、次工程の染色用やボイラー給水に再利用します。さらに、数年前から、ボイラーの排気熱も有効活用しています。ボイラーの排気熱とも再度熱交換し、給水をほぼ100℃近くまで予熱してからボイラーに供給しています。染色工程で発生する高温の排液とボイラーの排気熱の両方を回収して熱交換し、高温で給水することで、省エネを実現しているのです。

高温水を使用する生地の染色機 ここで出る排熱を再利用
高温水を使用する生地の染色機 ここで出る排熱を再利用
高温水を使用する糸の染色機 生地の染色機と同様、ここで出る排熱を再利用
高温水を使用する糸の染色機 生地の染色機と同様、ここで出る排熱を再利用

若手主導の工程見直しと運用改善

2024年から、SBT(Science Based Targets:パリ協定が求める基準と整合した、企業が設定する温室効果ガス排出削減目標)の取得を見据え、若手の勉強会を立ち上げました。品質を守りつつ無駄を削るアイデアを収集・検証しています。品質に対して過剰気味になっていた洗浄の見直しや、少ない回数で洗浄できる薬品を探すことなど、勉強会で出たアイデアを実践しました。

また、コロナ禍で操業時間を短縮した際、エネルギー使用が減りつつ収益性が改善したこともあり、機器の稼働時間の集約についても可能性を探りました。LEDへの入れ替えや太陽熱の活用、設備の運転・停止のメリハリ、温度管理と品質の相関を踏まえた加工タイミングの最適化など、現場の細かな改善が積み重なっています。改善した作業の影響を数値化することで、若手をはじめとする現場の意識はますます上がってきました。品質は譲らず、徹底的に無駄を省く文化が定着してきました。

若手勉強会での資料 改善や効率化など様々なテーマで議論
若手勉強会での資料 改善や効率化など様々なテーマで議論

顧客要請に備える排出量の見える化

お客様から省エネを意識した生産を要望されるケースも増えています。水質規制への適合はもちろん、近年は国内外のアパレルメーカーを中心にカーボンフットプリント開示の要請が強まっています。特に、欧州展開を視野に入れる企業では、エネルギー使用とCO2削減への取組が前提になりつつあり、同社も自社排出量の見える化を進め、工程ごとの削減効果を説明できる準備を整えています。重油ボイラーからLNGボイラーへの転換も早期に実施していますが、排水の削減についても、品質を守りながら生産工程を見直せる箇所を検討しています。

研究機関・教育機関との協力、環境関連セミナーへの参加を積極的に行い、測定とデータ活用の標準化を加速しています。業界全体では意識のばらつきがあるものの、「いつ言われてもデータを出せる」体制づくりを重視しています。大量の水と熱を扱う染色事業でも、データに基づく工程最適化と熱の再利用を積み上げ、品質を守りながらコスト競争力と省エネ、CO2削減を両立していきます。

染められた糸や生地 工程の自動化により高い品質、高い生産性を実現
染められた糸や生地/工程の自動化により高い品質、高い生産性を実現
若手に限らず全社員で業界をリードする省エネ取組を目ざす
若手に限らず全社員で業界をリードする省エネ取組を目ざす

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近畿経済産業局 公式note