ドイツ総領事館がつなぐ関西連携 ライフサイエンスとスタートアップ協業の最前線

(※本記事は経済産業省近畿経済産業局が運営する「公式Note」に2026年2月18日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)

つなぐ総領事館、進むドイツ・関西のライフサイエンス・スタートアップ連携

近畿経済産業局では、万博を契機に交流が深まった、主に関西に立地する総領事館・領事館との関係を一層強化し、関西と世界をつなぐ交流の促進に取り組んでいます。

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今回は、大阪・神戸ドイツ連邦共和国総領事館のメラニー・ザクシンガー総領事、シュヴァイツァ経済部長に、万博の成果や関西での今後の取組に関する展望を伺いました。なお、本記事の内容は、インタビュー実施時点(2025年11月)の情報に基づいています。また、掲載している写真は、ドイツパビリオン公式サイト内の「Multimedia」ページより取得したものです。

来場者300万人が体感した「サーキュラーな未来」

Q:万博期間中の最も重要な成果は何でしたか?

まず、これほどまでに見事な万博が実現されたことに、心から敬意を表したいと思います。会期早々から、私たち皆が願ってきた「熱気」が会場に満ちていたことは、関西に拠点を置く総領事館としても、本当に誇らしいことです。

ドイツパビリオンにおいては、「サーキュラーエコノミー」「持続可能な未来」「スタートアップによるイノベーション」など多様なテーマに基づく取組をしましたが、多くの来場者の皆様から非常に関心をお寄せいただきました。当初パビリオン側で想定していた30分間の観覧時間を超え、1時間ほど滞在される方もおられましたし、結果として300万人を超える方々にご来場いただくことができました。また、人気マスコット「サーキュラー」は日本をはじめとする皆さんに愛着を持っていただいたことも非常に嬉しく受け止めています。

6月のドイツ・ナショナルデーには連邦大統領が、さらに8月には外務大臣が来阪しました。こうした機会と併せて、宇宙分野におけるドイツと日本の協力に関するシンポジウムを開催することもできました。また、スタートアップ分野においても、連邦参議院議員が率いるベルリン都市州のスタートアップ代表団や、連邦経済・エネルギー省によるドイツのスタートアップ・ハブ代表団が、万博期間中に実施された「Global Startup Expo」に参加し、国際的なネットワーキングやビジネス創出に向けた絶好の機会を最大限に活用することができました。

さらに、ドイツ最大の州であるノルトライン=ヴェストファーレン州の経済大臣が来阪し、エネルギーなどの分野に関して、大阪府との新たなMOUが締結されるなど、地域間・都市間の連携も一層深まりました。

成功の起点は開幕前に――見えない準備が支えた万博の成功
成功の起点は開幕前に――見えない準備が支えた万博の成功

Q:その成果はどのような背景や準備によって実現されたのでしょうか?

重要だったことは、国家パビリオンの中でも非常に早い段階で、「Wa!Germany」というパビリオンのコンセプトを明確に示すことができた点です。私たちが万博への参加に際して、なぜこのデザインを選び、どのようなテーマを掲げるのか、とりわけ日本の来場者を強く意識したコンセプトを、万博開幕のかなり以前から具体的に発信できていたことは、本プロジェクトの成功の重要な要因となりました。その結果、早期の段階から様々な機関に対して、ドイツパビリオンのプロモーションを展開することができました。

我々としてもBIEへの申請段階から、ドイツのパビリオンチームに対し、良好な区画の確保や建設上の課題調整などについて、必要な情報提供を続けてきました。特にパビリオンの常駐チームが本格的に着任する以前の期間は、我々が「現地の足」となり支援を行うなど、一定の貢献を示すことができたと考えています。

総領事館として重要な役割は、「適切な人材・組織につなぐ」ということです。そしてそれは、実施した取組に対して良質なフォローアップを実現するために必要不可欠なことでもあります。例えば、分野横断型の大規模ビジネスミッション団等を連れてくることや、単にパビリオンへの訪問件数やMOUの件数を増やしただけでは、効果は表層的になりがちです。準備や事後フォローアップに手間はかかりますが、特に効果的なのが、テーマを1~2点に絞った「目的型」のビジネスミッション団を招くことです。その上で重要なのは、「誰が参加するか」であり、関心が高いテーマで需要が見込めるところを我々が拾い上げ、的確に繋げるということです。これは地道な活動であり、後回しにされがちなのですが、ここにこそ成功の鍵があります。

万博が成長を加速させる―ライフサイエンス、水素、スタートアップなどにおける協業可能性
万博が成長を加速させる―ライフサイエンス、水素、スタートアップなどにおける協業可能性

Q:今後、関西で国際交流やビジネス促進のための取組を予定されていますか?

我々の関心が高い分野の1つが、ヘルスケアとライフサイエンスです。従来から、関西とドイツのライフサイエンス・クラスターの間には強固な結びつきがあり、例えば、ベーリンガーインゲルハイム、バイエルといった企業が、関西において大規模な投資を行っています。関西には、「中之島クロス」に代表されるような「サイエンス×ビジネスの融合拠点」が存在します。このように科学と産業・ビジネスが一体となったハブを形成している点は、ドイツにとっても非常に魅力的です。このほか、化学、機械、ロボティクスなど日独双方が強みを有する製造分野においても、引き続き大きな連携の可能性があると見ています。

また、関西はエネルギー、水素、防衛分野でも潜在力がありますし、スタートアップも非常に面白いテーマの1つです。万博会場外においても、様々なネットワーキングの機会を通じて、水素関連の大企業からスタートアップまで幅広い関西企業との関係を深めるなど、具体的な連携が進んでいます。さらに、ドイツは展示会・MICE分野の先進国でもあります。例えば、「Global Startup Expo」のような大規模な国際イベントを継続的に関西で開催することができれば、関西とドイツの協力関係はより一層発展すると考えられます。将来的には、「インテックス大阪」などを活用し、ドイツに関連する展示会の開催を通じて、関西におけるMICE機能の拡充にもつなげていきたいと考えています。

このように、万博を契機として、日独間の交流は着実に深化しています。我々としてもまだまだ改善の余地がありますが、我々は、日独間の相互が協力関係を築くための最初の火を点けること、そして当事者同士が関係を継続できる状態へと繋げていきたいと考えています。

ドイツ館 / Alexandre.Olivieri/Takography ドイツ館内部風景

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近畿経済産業局 公式note