育成就労制度施行まで1年 現場管理職の約6割が転籍対策未着手 経営層との意識乖離が浮き彫りに

現場DXプラットフォーム『カミナシ』シリーズを提供する株式会社カミナシは、2027年4月に施行を控えた「育成就労制度」に関する企業の雇用実態と対応状況の調査結果を公表した。18歳以上65歳未満の会社員・経営者10,906名を対象としたスクリーニング調査と、技能実習生を雇用している企業の経営層・管理職(課長以上)111名を対象とした本調査の2段階で実施され、制度移行に向けた課題が明らかになっている。

外国人材需要の拡大と「転籍の自由化」への懸念

スクリーニング調査において、技能実習生を雇用していると回答した人のうち55.7%が育成就労制度下でも雇用の継続や拡大を予定していることが判明した(「増やそうとしている」22.0%、「同程度を維持」33.7%)。さらに、現在は技能実習生を雇用していないと回答した人の2.0%が新規雇用を予定しており、制度移行を機に外国人材への需要は一層高まる傾向にある。

一方で、新制度の大きな変更点である「転籍の自由化」への対応には課題が残る。育成就労制度の内容を「自信を持って理解している」と回答した企業は88.3%に達しているが、具体的な転籍対策に「着手できていない」企業は33.3%にのぼり、理解と実行の間に乖離が生じている実態が浮き彫りとなった。

役職間で生じている「対応断絶」

役職別の分析では、経営層と現場管理職の意識差が顕著に現れた。経営者・役員クラスの転籍対策実施率が84.2%であるのに対し、現場の実務を束ねる課長クラスでは57.1%が未着手と回答している。

育成就労制度では、一定の条件下で外国人材が職場を選択できるようになる。人材流出を防ぐためには日々の現場環境の整備が不可欠だが、実務を担う現場レベルにまで対策が浸透していない「対応断絶」の状態は、制度施行後の大きなリスクとなり得る。

定着の鍵を握る「多言語コミュニケーション」

外国人材の定着に有効な施策として、多言語対応コミュニケーションツールを導入した企業の61.1%が「十分に効果を感じている」と回答した。これは定期面談(57.9%)、多言語対応教育ツール(54.5%)、日本人従業員への研修(54.2%)といった施策を上回る満足度となっている。

また、外国人従業員とのコミュニケーションに「課題を感じている」と回答した人は93.7%にのぼる。具体的な課題としては、「伝えたいことが本当に伝わっているか不安」という回答が39.4%で最多となった。指示の不徹底といった顕在化した問題以上に、意思疎通の成否が不明確であることによる「見えない不安」が現場に広がっている実態が示されている。