自走式ロープウェイ開発のZip Infrastructure 西松建設から出資、連携締結

慶應義塾大学発スタートアップのZip Infrastructure(福島県南相馬市)は2026年4月20日、西松建設と出資契約ならびに次世代交通システムの実用化に向けた連携協定を締結したと発表した。同社が開発する自走式ロープウェイ「Zippar(ジッパー)」のインフラ整備および社会実装に向け、西松建設が有する土木・建築分野の知見を活用し、施工性・安全性・合理性の観点から技術的評価や事業化に向けた検討を進める。

Zipparは、道路上空を自動運転で走行する電動自走式ロープウェイ。ロープとゴンドラが独立した構造を採用することで、従来のロープウェイでは難しかったカーブや分岐を自由に設けることができ、柔軟な路線設計が可能となる。Zip Infrastructureの試算によると、建設コストは1kmあたり約15億円と、モノレールの約5分の1の水準に抑えられ、工期も約1年で完成できる。自動運転技術の採用により運転士不足の課題にも対応できるほか、電動システムによる脱炭素化への貢献も見込む。さらに、交通渋滞の緩和、過疎地域の移動手段不足への対応、運転手不足といった社会課題への解決策となりうると期待している。

今回の両社の連携協定では、以下の4点が取り組みの柱となる。①インフラ整備における技術的サポート、②情報の相互共有、③事業化に関する共同検討、そして④Zippar技術の横展開だ。両社はZipparを用いた事業活動を通じて、次世代のまちづくりに貢献していく方針を示している。

Zip Infrastructureは2018年7月に設立され、神奈川県で開発に着手した。2023年4月には神奈川県秦野市において12人乗りテストモデル車両の走行に成功。その後、開発拠点を福島県南相馬市に移し、現在は試験線の建設を進めている。自治体との連携では、神奈川県、福島県南相馬市、神奈川県秦野市、沖縄県豊見城市、東京都稲城市などと連携協定を締結。企業連携では、2025年2月に九州電力と次世代交通システムの実用化に関する連携協定を締結し、その後、2025年10月に出資契約を結んだ。2026年3月には新明和工業と資本業務提携を締結(関連記事)し、整備基地や充電設備の共同開発にも着手している。海外展開では、2024年6月にフィリピン基地転換開発公社(BCDA)と基本合意書(MOU)を締結済みだ。