顧客体験は「次に何をするか」から「次に何を感じるか」へ

マッキンゼー・アンド・カンパニーは2026年5月7日、企業における顧客体験の進化と競争優位の源泉について分析した最新ホワイトペーパー「ネクスト・ベスト・エクスペリエンス」を発表した。本レポートは、従来のマーケティングが焦点を当ててきた「ネクスト・ベスト・アクション」の限界を指摘し、顧客一人ひとりにとって最も価値のある体験全体を設計する新たなアプローチへの転換の重要性を提言している。

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顧客接点の高度化が進むなか、「どのオファーを出すか」ではなく「どのような体験を提供するか」が企業価値を左右する時代が到来している。生成AIの進展により、顧客の文脈や意図をリアルタイムで捉えた体験設計が現実のものとなる一方、多くの企業は依然として断片的な最適化にとどまっているという。マッキンゼー・アンド・カンパニー(日本代表:岩谷直幸)が発表した本ペーパーは、こうしたギャップを埋め、顧客が複数のチャネルを横断しながら企業と関係を築くなかで、その一貫した体験設計が競争力の鍵になると指摘する。

「ネクスト・ベスト・アクション」から「ネクスト・ベスト・エクスペリエンス」へ

本ホワイトペーパーは、消費財・小売り業界における企業戦略領域のスペシャリストであるパートナーの櫻井康彰氏、およびアソシエイトパートナーの大町雅彰氏によって監訳された。従来のマーケティングは個々の接点における最適なアクションを導き出すことに焦点を当ててきたが、本レポートでは、顧客一人ひとりにとって最も価値のある体験全体を設計する「ネクスト・ベスト・エクスペリエンス」への転換の重要性を指摘している。

AIが可能にする「文脈理解」と体験設計

生成AIや高度な分析技術の進展により、顧客の行動履歴にとどまらず、意図や状況といった文脈をリアルタイムで理解し、最適な体験を提供することが可能になりつつあると分析。これにより企業は、単なるパーソナライゼーションを超え、顧客ごとに意味のある体験を動的に構築することが求められるとしている。

その実現には、顧客起点でのエンドツーエンドの体験設計、データとAIを活用した意思決定の高度化、組織横断での連携強化とオペレーティングモデルの再構築が不可欠だと指摘。これらはマーケティング領域にとどまらず、企業全体の競争力を左右する重要な変革テーマであるとまとめている。