シンク・ネイチャー、自然資本ビッグデータと衛星モニタリングを統合したSBTi-FLAG評価サービスを開始

株式会社シンク・ネイチャーは、自社が保有する自然関連ビッグデータと時空間分析技術を活用し、温室効果ガス(GHG)排出量算定基準「SBTi-FLAG」に対応した評価システムを開発、関連企業へのサービス提供を開始した。

SBTi-FLAGは、SBTイニシアチブ(SBTi)が公表した、森林・土地・農業(FLAG:Forest, Land, and Agriculture)に関連するGHG排出の算定・削減を企業に求める基準だ。FLAG関連のGHG排出量が全排出量の20%を超える企業には、個別の目標設定が義務づけられる。しかし、企業が事業上依存する木材や農産物などの原材料は、トレーサビリティが十分に把握できないことが多い。そうした制約のなかでも、企業は原材料調達における土地改変由来のGHG排出量を、過去長期間に遡って算定する必要がある。算定の困難さが、スコープ3排出量の定量化と削減アクションの障壁となってきた。

今回開発されたシステムは、森林・土地・農業に依存する各種コモディティの生産地域を高解像度で可視化した自然資本ビッグデータと、衛星モニタリングを統合した分析手法を採用する。これにより、これまで把握が困難だったサプライチェーン上流の「過去20年間にわたる土地改変履歴(LUC)」や「地域固有の排出係数」の特定が可能になる。企業の事業活動におけるスコープ3インパクトを科学的根拠に基づいて可視化し、SBTi-FLAG対応などの情報開示を支援するとともに、気候変動対応の実効性を高める仕組みとなっている。

シンク・ネイチャーは2019年8月設立のスタートアップで、自然資本の可視化を通じた経営支援や情報開示支援を事業の柱としている。生物地理学・マクロ生態学などの基礎科学と、生物多様性保全の応用科学の知見をビジネス領域に展開しており、陸海のフィールドワークと人工衛星観測に由来するビッグデータに、物流統計や産業連関などの社会経済情報を組み合わせたデータ分析を強みとする。これまでも企業向けのIR開示支援(TCFD・TNFD・SBT対応)、機関投資家向けの気候・自然デューデリジェンス、自治体向けのネイチャーDX支援など多面的な事業を展開してきた。今回のサービスもその事業ポートフォリオの一環に位置づけられる。

気候関連の情報開示が国際的に進むなかで、サプライチェーン上流における土地利用変化由来の排出量算定は、多くの企業にとって対応の難しい領域となっている。今回のサービスは、衛星観測と自然資本データを組み合わせることで、これまで定量化が困難だった領域の可視化を可能にする。SBTi-FLAGをはじめとする情報開示基準への対応、ひいては生物多様性の回復に向けた企業の実効的な取り組みを後押しするものとして、注目される。