東大発Gaianixx 20億円を調達、量産化試行設備を本格稼働へ

東京大学発スタートアップのGaianixx(東京都文京区)は2026年3月2日、シリーズC 1stラウンドで総額20億円の資金調達を完了したと発表した。累計調達額は約38.5億円となる。同社は、独自のアプローチで化合物半導体の結晶成長技術を開発している企業。

リード投資家はJICベンチャー・グロース・インベストメンツ(JIC VGI)。既存株主のUTEC、JX金属、アルコニックス、i-nest Capital、SMBCベンチャーキャピタルに加え、新規投資家として三井金属CVC2号ファンド(月刊事業構想2026年4月号参照)、Vertex Ventures Japan、東レインターナショナル、きらぼしキャピタルが参画した。素材・非鉄金属系の事業会社からの出資が増え、化合物半導体のサプライチェーンの上流との連携が強化された。

調達した資金は主に3つの領域に振り向ける計画。1つ目は、山梨テクニカルセンターの本格稼働だ。同拠点の整備はすでに完了しており、顧客の量産ライン導入を見据えた大規模サンプル供給とプロセス検証を担う。ラボレベルの試作から一歩拡大した独自パイロットラインによって、量産移行の確度を高める狙いがある。2つ目は、グローバル事業開発の加速。新しく株主となった三井金属やVertex Ventures Japan、東レインターナショナルなどの事業ネットワークを活用し、北米・欧州・アジア圏の市場に本格参入する。量産プロセスエンジニア、事業開発(BD)、知財戦略の専門人材の採用も大幅に拡大する方針だ。3つ目は知的財産の確保。現時点で12件の特許を権利化済み(うち11件が中核技術の多能性中間膜に関するもの)、国内外で87件を出願中だが、今後も他社に対し優位に立つための参入障壁の構築を着実に進める。

半導体デバイスの高性能化を阻む根本的な課題の一つが「格子不整合」だ。基板とその上に成長させる半導体の薄膜の原子間隔が異なると結晶欠陥が生じ、性能劣化やコスト増の原因となる。Gaianixxでは、基板と半導体膜の間に挿入する独自の中間層「多能性中間膜」を開発している。不整合を緩和することで、半導体膜の高品質な単結晶化を実現するもの。異種材料同士をつなぐこの技術による課題解決が、投資家や顧客企業からの期待を集めている。

Gaianixxは前回のシリーズBラウンド以降も、事業化のステージを進めてきた。すでに2社で、同社材料を用いたデバイス開発への正式移行が完了し、製品化に向けた強固なコミットメントを獲得した。また国内外約40社のデバイスメーカーなどから共同開発・評価の引き合いが寄せられており、次世代センサー、通信デバイス、パワー半導体など、多岐にわたる応用領域を検討している。