中国、半導体用重要鉱物の対米輸出を禁止 米国の選択肢が限られる
(※本記事は『THE CONVERSATION』に2024年12月23日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)

中国は最近、米国との貿易をめぐる緊張が高まる中、ガリウムとゲルマニウムという鉱物の対米輸出を禁止した。
これらの鉱物は、コンピュータチップ、ナイトビジョンゴーグルのような軍事技術、電気自動車や太陽電池などの再生可能エネルギー分野において重要であり、経済的に極めて高い価値を持つ。これらは、米国およびEUにとって非常に敏感な分野である。
中国は供給面で圧倒的な市場シェアを持ち、ガリウムの98%、ゲルマニウムの91%が中国由来である。「一次供給」とは、鉱石のような原料源から直接得られる供給を指す。この鉱物が使用される分野では、多くの場合代替品が存在しない。
ガリウムとゲルマニウムは主要鉱物の副産物としてごく少量しか存在せず、「微量鉱物」として知られる。ゲルマニウムの一次供給源は、亜鉛精錬時の残留物や石炭火力発電所で発生するフライアッシュ(石炭灰)である。
一方、ガリウムは主にボーキサイト鉱石(アルミニウムの主要原料)や、ボーキサイトからアルミニウムを抽出する加工過程で副産物として得られる。
中国のこれらの鉱物に対する輸出禁止措置は、米国が中国の半導体産業に対して3年間で3度目となる規制を実施した直後に発表された。米国は、中国が米国の安全保障を脅かす用途にこれらの先端チップを使用することを防ぐために、これらの輸出を規制している。

たとえば、先端チップは人工知能(AI)を活用した電子戦や、極超音速ミサイルといった先端兵器システムに使用される可能性がある。中国は、ガリウムとゲルマニウムの輸出禁止措置について、これらの鉱物が「軍事および民間の両方で使用される」ためであると説明している。
ロイターの2023年の報道によると、米国国防総省はゲルマニウムの戦略備蓄を保有しているものの、ガリウムについては備蓄がない。2024年10月、米国地質調査所(USGS)は、中国によるガリウムとゲルマニウムの輸出全面禁止が米国のGDPに34億ドルの損失をもたらす可能性があると推定している。
続きは無料会員登録後、ログインしてご覧いただけます。
-
記事本文残り60%
月刊「事業構想」購読会員登録で
全てご覧いただくことができます。
今すぐ無料トライアルに登録しよう!
初月無料トライアル!
- 雑誌「月刊事業構想」を送料無料でお届け
- バックナンバー含む、オリジナル記事9,000本以上が読み放題
- フォーラム・セミナーなどイベントに優先的にご招待
※無料体験後は自動的に有料購読に移行します。無料期間内に解約しても解約金は発生しません。