豆腐バーのヒットが示す教訓 思い込みの破壊が生むイノベーション
(※本記事は「JAcom 農業協同組合新聞」に2025年3月14日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)
お昼や仕事の合間に「豆腐バー」を食べる人も多いのではないでしょうか。「豆腐バー」と「サラダチキン」、この2つは近年の日本では驚異的なヒット商品です。
2つの商品は素材もメーカーも異なるが、誰にでもわかる共通点がある。消費者の視点から見れば、いつでも簡単に入手可能、手頃な価格、慣れ親しんだ原材料であり、必要なタンパク質が効率よく摂取でき、最近の表現で言えば「コスパ」が良い。
さて「豆腐バー」である。豆腐はいわば伝統食である。伝統食であるが故に、残念ながら他の伝統食同様、近年の消費は停滞傾向にあった。これを何とかしたいと取り組んだ株式会社アサヒコの社長池田未央氏が米国へ視察に行くと、現地には日本では考えられないような「硬い豆腐」が普通に売られていた。
筆者も米国の豆腐を何度も食べたが、確かにさまざまな硬さのものが売られている。それを見て豆腐の可能性をつぶしていたのは日本人自身であった点に気が付いたのは流石である。全くそういう発想はなかった。木綿豆腐のハード・バージョンくらいの認識であった記憶がある。
硬い豆腐を作る...、それだけだが、この発想の転換が難しい。試作時には長年いわば普通の良い豆腐を作っていた現場からも大反対があったようだ。最初にアイデアを持ち込んだ時の反応は今や余りにも有名である。「そんなモノ作れるか」「豆腐を冒涜している!」である。
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