コンピテンシーモデルとは? キャリアの転換期に活かせる思考を解説
キャリアの転換期に直面したとき、多くの人が「自分の本当の強み」を見失いがちです。そんなときに役立つのが「コンピテンシーモデル」という考え方です。本記事ではコンピテンシーモデルについて解説していきます。個別相談はこちらから受け付けています。リンク先の下段に申し込みフォームがあります。

コンピテンシーモデルとは何か
コンピテンシーモデルとは、簡単に言えば「成果を生み出す人の行動特性を体系化したもの」です。単なる知識やスキルではなく、実際に高い成果を上げている人が「どのように考え、どう行動しているか」という行動パターンに着目しています。
たとえば、同じ「営業スキル」を持っていても、顧客との信頼関係構築に長けている人、データ分析から戦略を立てるのが得意な人など、成果につながる行動特性は人それぞれ。コンピテンシーモデルは、こうした個人の強みを具体的な行動レベルで可視化するフレームワークなのです。
なぜ今、コンピテンシーモデルが重要なのか
人生100年時代と言われる今、一つの会社、一つの職種でキャリアを完結させる時代は終わりました。変化の激しいビジネス環境の中で、多くの人が複数回のキャリア転換を経験していくでしょう。
そんな中、「自分らしい価値創造」を実現するには、自分の行動特性を深く理解し、それを次のステージでどう活かせるかを考えることが不可欠です。コンピテンシーモデルは、変化の時代における羅針盤として機能します。
コンピテンシーモデルが役立つ場面
コンピテンシーモデルは、転職活動だけでなく、さまざまなキャリアの転換期で活用できます。
組織内での異動や昇進、新規事業の立ち上げを任されたとき、起業やセカンドキャリアへの移行など、いずれの場面でも「自分の強みをどう活かすか」が問われます。自分のコンピテンシーを理解していれば、未知の領域でも自信を持って一歩を踏み出せるでしょう。
具体例で理解する
たとえば、技術畑で実績を積んできたAさんが、マネジメント職への転換を考えているとします。過去の成功体験を振り返ると、「技術的課題を分解し、チームメンバーに適切に割り振って解決に導いた」「若手エンジニアの相談に乗り、成長を支援してきた」といった行動が浮かび上がります。
これらは「問題解決能力」「人材育成志向」というコンピテンシーとして整理できます。Aさんは技術者としてだけでなく、すでにマネジメントに必要な行動特性をこれまでの業務のなかでも発揮していたことに気づくのです。
自分のコンピテンシーを発見する方法
自分のコンピテンシーを見つけるには、過去の成功体験を丁寧に振り返ることが有効です。
具体的には、STARメソッド(Situation:状況、Task:課題、Action:行動、Result:結果)というフレームワークを使い、「どんな状況で、何を課題と捉え、どう行動し、どんな成果を出したか」を整理します。複数のエピソードから共通する行動パターンを抽出することで、自分のコンピテンシーが見えてきます。
コンピテンシーを活かしたキャリア戦略
発見したコンピテンシーは、次のキャリアステージを考える上での重要な指針になります。自分の強みとなる行動特性を理解すれば、それを活かせる役割や環境を戦略的に選択していくことできます。
また、不足しているコンピテンシーがあれば、意識的に開発することも可能です。強みを軸にしながら、必要な能力を補完していく――これが持続可能なキャリア戦略につながります。
自己理解から新たな価値創造へ
自分一人でコンピテンシーを整理するのは、意外と難しいものです。キャリアコンサルタントやエグゼクティブコーチなど、第三者の客観的な視点を取り入れることで、自分では気づかなかった強みや行動パターンが見えてくることもあります。
コンピテンシーモデルは、単なる自己分析のツールではありません。それは「自己理解→行動変容→新たな価値創造」へとつながる実践的なフレームワークです。
キャリアの転換期に直面したとき、立ち止まって自分の行動特性を見つめ直してみてください。そこから、次のステージへの確かな一歩が始まります。
個別相談はこちらから受け付けています。リンク先の下段に申し込みフォームがあります。
- 酒井 信幸
- キャリアコンサルタント/社会構想大学院大学 事務局長 兼 先端教育研究所研究員