医療ビッグデータビジネス対決!メディカル・データ・ビジョン VS. JMDC

医療分野が「働き方改革」の対象となったこともあり、医療機関は、電子カルテや診療報酬システムのクラウド型への移行など、医療データを集約するプラットフォームの構築や、経営のあり方そのものの改革を迫られている。そうしたなか、健康診断データやレセプトデータなどを収集・分析し、コンサルティングなどを行うビジネスが急成長している。この分野を代表する2社、メディカル・データ・ビジョンとJMDCはどのような戦略を持っているのか。

医療DXの遅れや医療費増加の解決にも寄与

メディカル・データ・ビジョンは2003年設立。生活者が自分の医療・健康情報を把握して自身でサービスを選択できる社会の実現をパーパスとしている。2022年策定の中期経営計画では、クラウド型データ基盤への移行やデータ連携強化によるサービス対象先の拡大と集積データの種類拡大、そしてオープンアライアンスの積極展開による関連分野への進出をテーマに、3つの戦略を立てている。

1つ目は、病院経営改善システム「MDV Act」の有料機能やクラウド版健診システム「アルファ・サルース」の拡販、PHR(パーソナル・ヘルスレコード)・サービス「カルテコ」の普及促進などによるクラウド基盤の拡大。2つ目は、DeNAグループと日本システム技術との連携などによる、1800万人規模の保険者データの販売強化。3つ目は、「カルテコ」のリニューアルなど、成長市場であるBtoC領域への先行投資だ。こうした取り組みにより、2025年12月期目標の連結売上高100億円と経常利益25億円以上の達成を目指す。

一方、JMDCは2002年の設立。インダストリー、保険者・生活者、医療提供者向けの健康ビッグデータ提供、遠隔医療、調剤薬局支援の3分野で事業を展開。医療ビッグデータビジネスの草分け的存在として、健保組合レセプトデータベースの提供などによる健康増進活動の推進、国民医療費の健全化に貢献してきた。中長期的には3つの経営戦略を立てている。

1つ目は、アドホック型販売の見直しと、より高効率で情報管理しやすい分析環境の整備を通じた顧客あたり取引額の最大化。2つ目は、同社が遠隔医療用に開発した胸部X線肺炎検出AIエンジンなど高度なテクノロジーや、データ利活用による医療の高度化・効率化。3つ目は、自社や取引先のサービス利用者の多さを活かした医療業界全体の効率化、医療費抑制だ。

医療はDXがもっとも進んでいない分野とも言われる。DXの遅れが経済損失を招く「2025年の崖」問題への懸念も高まる今、医療ビッグデータの分析・解析サービスがもたらす医療ビジネス革新に寄せられる期待は大きい。

両社の概要

メディカル・データ・ビジョン

設立 2003年
本社 東京都千代田区
代表 岩崎 博之(代表取締役社長)
資本金 9億9,266万円
従業員数 連結:257名
主な事業と
グループ会社
●データネットワークサービス
(医療機関経営支援システム、医療・健康情報収集・蓄積)
:メディカル・データ・ビジョン、CADA、
メディカルドメイン、システムビィー・アルファ、
Doctorbook
●データ利活用サービス(製薬会社、研究機関、患者、
生活者等への各種分析データ提供):
メディカル・データ・ビジョン、MDVトライアル

出典:ホームページ(会社概要、有価証券報告書)

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