巣篭もり効果・ネット対応で絶好調 公営競技対決 競馬vs競輪
新型コロナウイルス感染拡大でエンタメビジネスは大きなダメージを受けたが、公営ギャンブル市場は成長を維持。リアル観戦者は減少したものの、インターネットによる投票が容易になったことなどが背景だ。4大公営ギャンブルのうち、競馬と競輪の経営状況やファン獲得への取り組みを比較する。
コロナ禍でデジタル化の恩恵を受けた公営競技
コロナ禍に伴う「不要不急の外出自粛」や「ステイホーム」という社会全体の風潮は、余暇産業やエンタテインメントビジネスに大きなダメージを与えたが、公営競技はむしろ巣篭もりがプラスに働いたようだ。
日本中央競馬会(JRA)の2020年決算は、勝馬投票券収入と事業収入を合わせた事業収益が3兆206億円(前年比3.0%増)となり、17年ぶりに3兆円を突破。また、JKAの事業報告書によれば、2020年度の競輪車券売上額は7499億円(前年度比13.6%増)と、11年ぶりに7000億円台を回復した。このほか、競艇の2020年度売上額は2兆0951億円(同35.7%増)、オートレースは946億円(同28.1%増)だった。
公営競技はバブル期をピークに収益が低下傾向にあったが、2010年代からは徐々に増加に転じている。この要因は、各競技団体等がデジタル化を進めてきたことにある。例えば競馬は、インターネットバンキングを活用した「即PAT(2005年~)」やクレジットカード対応の「JRAダイレクト(2011年~)」、専用のICカードを通じた入出金や投票が可能な「JRA-UMACA」など、デジタルによる投票の利便性向上に長年取り組んできた。競輪も同様にインターネット投票を進めており、近年はサイバーエージェントグループの「WinTicket」やミクシィグループの「TIPSTAR」など、レースのライブ映像配信とアプリ投票を組み合わせた民間サービスも登場している。
デジタル化だけでなく、各競技団体は新規ファン獲得に向けた努力も続けている。競輪では、2021年10月から千葉競輪場で、1周250mのトラックを使用したエンタメ性の高いレース「PIST6(250ケイリン)」が開始された。民間と連携したサービス開発やエンタメ性のさらなる追求により、公営競技の市場はまだまだ拡大する余地がありそうだ。
運営団体概要
中央競馬会(特殊法人)
設立 | 1954年 |
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所在地 | 東京都港区 |
代表 | 後藤 正幸(理事長) |
資本金 | 49億2,412万9千円(政府全額出資) |
従業員数 | 1,779名(2020年度) |
主な 事業内容 |
●中央競馬の開催 ●馬主、服色、馬の登録 ●調教師、騎手の免許、騎手養成・訓練 ●競走馬の育成、健康維持 ●馬事振興 |
競馬場 | 札幌、函館、福島、新潟、中山、東京、 中京、京都、阪神、小倉 |
JKA(公益財団法人)
設立 | 2007年(1948年 自転車振興会設立) |
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所在地 | 東京都港区 |
代表 | 笹部 俊雄 (会長) |
従業員数 | 602名(2021年7月現在) |
主な 事業内容 |
●補助関係:自転車、小型自動車等に関する機械振興事業 補助、体育・医療・文教等の公益事業補助 ●競輪関係:選手・審判員・自転車の登録、検車員の認定、 競輪の実施方法制定、選手育成・訓練・出場斡旋、 競輪に関する広報宣伝・調査・企画 など |
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