時事テーマから斬る自治体経営 「行政サービスの向上」の注意点
地方自治の現場では、現在、「行政サービスの向上を目指すと、結果的に行政サービスが低下してしまう」というスパイラルに陥っているところが多いという。その原因は自治体職員の働き方やシステムにあるというが、実際どのような問題があり、どのようにすれば解決できる可能性があるのだろうか。
筆者が地方自治(政策づくり)の現場に行くと、「行政サービスの向上」が金科玉条のニュアンスを持って使われている。ところが現実的には、「行政サービスは低下」しつつあるように感じる。むしろ、行政サービスは低下せざるを得ない状況である。
現在は、「行政サービスの向上を目指すと、結果的に行政サービスが低下する」というスパイラルに陥っている。本稿は、その原因を示していく。
今日、何気なく言われる「行政サービスの向上」を問い直す時期にきているだろう。今回は私見を交えて、「行政サービスの向上」の注意点に言及する。
地方自治の現場を悩ますギャップ
地方自治の現場では、図で示すことが起きている。図の縦軸は、職員数の増減を示している。横軸は、事務量の増減を意味している。時代の流れが左から右に進むことになる。
図 行政事務と自治体職員のギャップ
時代の経過とともに、職員数は減少してきた。同時に事務量は増加している。特に、近年は事務量が急拡大している。例えば、地方創生が始まってから、国土強靭化、デジタル化、SDGs、脱炭素、子ども家庭(庁)など、国は地方自治体の意向に関係なく事務量を増やしている。同時に現場でも住民ニーズは多様化・多発化しており、やはり事務量が増加している。
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