時事テーマから斬る自治体経営 「行政サービスの向上」の注意点

地方自治の現場では、現在、「行政サービスの向上を目指すと、結果的に行政サービスが低下してしまう」というスパイラルに陥っているところが多いという。その原因は自治体職員の働き方やシステムにあるというが、実際どのような問題があり、どのようにすれば解決できる可能性があるのだろうか。

筆者が地方自治(政策づくり)の現場に行くと、「行政サービスの向上」が金科玉条のニュアンスを持って使われている。ところが現実的には、「行政サービスは低下」しつつあるように感じる。むしろ、行政サービスは低下せざるを得ない状況である。

現在は、「行政サービスの向上を目指すと、結果的に行政サービスが低下する」というスパイラルに陥っている。本稿は、その原因を示していく。

今日、何気なく言われる「行政サービスの向上」を問い直す時期にきているだろう。今回は私見を交えて、「行政サービスの向上」の注意点に言及する。

地方自治の現場を悩ますギャップ

地方自治の現場では、図で示すことが起きている。図の縦軸は、職員数の増減を示している。横軸は、事務量の増減を意味している。時代の流れが左から右に進むことになる。

図 行政事務と自治体職員のギャップ

出典:筆者作成

時代の経過とともに、職員数は減少してきた。同時に事務量は増加している。特に、近年は事務量が急拡大している。例えば、地方創生が始まってから、国土強靭化、デジタル化、SDGs、脱炭素、子ども家庭(庁)など、国は地方自治体の意向に関係なく事務量を増やしている。同時に現場でも住民ニーズは多様化・多発化しており、やはり事務量が増加している。

全文をご覧いただくには有料プランへのご登録が必要です。

  • 記事本文残り75%

月刊「事業構想」購読会員登録で
全てご覧いただくことができます。
今すぐ無料トライアルに登録しよう!

初月無料トライアル!

  • 雑誌「月刊事業構想」を送料無料でお届け
  • バックナンバー含む、オリジナル記事9,000本以上が読み放題
  • フォーラム・セミナーなどイベントに優先的にご招待

※無料体験後は自動的に有料購読に移行します。無料期間内に解約しても解約金は発生しません。