近鉄百貨店 地域密着商業施設の戦略 FCから学び、共創する百貨店に

関西の近畿日本鉄道沿線を中心に展開するデパート、近鉄百貨店。大阪都心のあべのハルカス近鉄本店と、それ以外の9つの郊外店の役割を明確に分けた事業戦略を進めている。近年、郊外店において、スーパーなどのFC店を自社運営する手法の定着に成功。そこで培ったノウハウ、マネジメントを本店で生かす。

 

梶間 隆弘(株式会社近鉄百貨店 代表取締役社長執行役員)

超広域から集客する本店、
地域の暮らしを支える郊外店

大阪の中心部あべのハルカスに、日本の百貨店として最大規模の店舗を運営する近鉄百貨店。2030年のあるべき姿を示す長期ビジョンとして打ち出したのは「『くらしを豊かにするプラットフォーマー』となる」だ。その第1ステージとなる中期経営計画(2021年~2024年度)では、旗艦店であるあべのハルカス近鉄本店については国内外の超広域から集客できる店づくりを進めるとした。同時に、それ以外の近鉄沿線を中心とする主要駅に直結する9つの地域中核店・郊外店については、駅前中心市街地の核となる生活機能・商業機能・コミュニティ機能を融合した「街づくり型複合商業サービス施設」へ変革を図る方針を示した。

2024年5月に近鉄百貨店の社長に就任した梶間隆弘氏は、「長期ビジョンの策定中に新型コロナウイルスの感染が拡大し、10年後の百貨店業界はどうなるのだろうと考えました。特に地域中核店・郊外店は今後、人口減少、コンパクトシティ化に対応しなければならないでしょう。ハレの日の商品を中心に扱うよりも、生活者の日常の暮らしに寄り添った品ぞろえが重要になると同時に、その中で百貨店らしい上質さをいかに打ち出していけるかがカギになると考えました」と話す。

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