ドローンショー・ジャパン 内製化で世界最安値の機体開発 地方から海外でのイベント展開へ

夜空に数百~数千機のドローンが舞い上がり、LED光で描き出される壮大な演出。株式会社ドローンショー・ジャパンは、自動操縦技術とオリジナル機体で全国各地のイベントに新たな価値を創出している。イベントを支えるのは、ハードウェアからソフトウェアまで完全内製化を実現した技術力。日本製でありながら世界最安値での製造を行い、地方の雇用創出にも貢献。「世界をエンタメ化する」を理念に掲げ、2025年からは中東・東南アジアへの本格展開も始動した。代表取締役・山本雄貴氏に、事業の核心と今後の戦略を聞いた。 

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株式会社ドローンショー・ジャパン 代表取締役の山本雄貴氏

「人生の楽しい時間を最大化したい」 

全国価値でドローンショーを展開 

株式会社ドローンショー・ジャパン 代表取締役の山本雄貴氏は東京の大学を卒業後、大手金融機関に新卒入行し、その後スタートアップで新規事業立ち上げを行い、その後の前職でのIPO(新規株式公開)を機に転機を迎えた。「東京に面白いコンテンツが集まる状況を、逆のベクトルにシフトさせたいと考えました」と当時を振り返る。東京では多種多様なエンターテインメントや楽しいコトが提供される一方、地方では特色ある観光資源があるにもかかわらず、画一的な商業施設が増え、独自性が失われていく状況に危機感を抱いていた。 

その後、家族とともに地元金沢へUターンし、2年間「地方の特性を生かし、東京では簡単に事業化できないテーマを模索した。モバイルゲームやエンタメ系アプリの事業開発経験から、一般消費者に喜ばれるコンテンツとして出会ったのが、当時日本ではどの企業もやっていないドローンショーだった。 

山本氏が掲げる「世界をエンタメ化する」という理念の根底には、明確な哲学がある。「人間の一生は限られている。その中で、1分でも1時間でも、楽しいと感じられる時間を最大化したい」。つまり、楽しいと思えるもの全てからエンターテイメントなのだ。 10分間のドローンショーを10万人が観覧すれば、100万分の幸せな時間を創出できる。そうした想いが、事業の原動力となっている。 

コロナ禍を機に完全内製化

「日本製」で世界最安値を実現 

ドローンショー・ジャパンは、LED搭載ドローンを地上のPCで自動操縦し、数百機から数千機を一度に飛ばす技術を持つ。夜空をキャンバスに、キャラクターや文字、さらにはQRコードまで描き出すことができるのだ。「オフラインからオンラインへの導線として、スマホで空のQRコードを読み取り、プレゼントキャンペーンやデジタルスタンプラリーにつなげる事例もあります」と、マーケティング施策としての活用も可能だ。 

創業直後はコロナ禍によりイベント自粛で苦境に立たされたが、この期間を活用して大きな方針転換を行った。当初は中国のOEMメーカーに発注した機体を使用していたが、「テストで落下が頻発し、分解してみるとはんだ付けが外れているなど基本的な品質問題が多くありました。そこで、構造的にも品質的にも自社開発メリットがあると判断しました」と語る。ハードウェアからソフトウェアまで一貫して内製化する決断だ。 

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世界最安値でのショー用ドローン製造を行う同社

この決断には、単なる品質向上以上の意味があった。「海外メーカーから購入すれば資金が海外へ流出するだけですが、国内の部品メーカーや製造業者に発注すれば、国内の技術者の収入になる」。思わぬきっかけが、雇用創出や地域経済への貢献に繋がったわけである。また、外的要因である円安や国内人件費の相対的低下も相まって、日本製でありながら「世界最安値での製造」が実現した。 

地方イベントで集客10倍 

花火ではない新たな観光資源に 

同社の主要顧客は、全国各地のイベント主催者だ。花火大会や夏祭り、カウントダウンイベントなどで採用が進み、近年は企業のプロモーションや商品発表会での活用も増えた。プロ野球の「横浜DeNAベイスターズ」や人気ミュージシャン「Mrs. GREEN APPLE」のライブ演出でも、ドローンショーを実施するなど、各地で引っ張りだこだ。 

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プロ野球の「横浜DeNAベイスターズ」などのイベントでも人気なドローンショー©YDB

特筆すべきは、その集客効果。和歌山城で毎年開催される冬季ライトアップ点灯式では、ドローンショー導入初年度には、来場者は2万5,000人へと10倍以上に急増した。「地元の人でさえも、『和歌山市にこんなに人がいたのか』と驚いていました。近隣の駐車場は満車、ビジネスホテルも満室になり、経済波及効果を実感しました」と山本氏。 

ドロンショーは動画でも閲覧可能だが、何と言ってもリアルでのインパクトが大きく、演出面の工夫は多岐に渡る。音楽と連動させることで一体感を演出するだけでなく、花火やプロジェクションマッピング、ダンスパフォーマンス等、様々なエンターテインメントとの融合をさらに進めるという。 

中東・東南アジアへ本格展開構想 

法律の壁を乗り越え、ドロンショーを世界に 

同社のもう一つの魅力は、言語を超えた「ノンバーバルの演出」だ。「漫画は翻訳が必要ですが、ドローンの光は言葉が分からなくても伝わります。それが面白いです」と山本氏は語る。2024年に初めて実施した台湾でのイベントでは、文化や言葉が異なる3万人を魅了し、今後のターゲットとして、中東や東南アジアの国々を挙げる。「人口が伸びていて、ナイトカルチャーが整っている地域と相性が良い事業です。カタールのドバイやサウジアラビア、タイやベトナム、マレーシアなどを視野に入れています」と山本氏は今後の構想明かす。 

海外展開における課題は、ドローンが軍事利用可能な物品として輸出規制の対象になる点だ。対策として、メーカーとしての技術力を生かし、「現地での製造」という戦略も検討しているという。 

これらの構想や事業を支えるのは、50名弱の社員・アルバイトなどの関係者だが、山本氏は、「(技術力だけでなく)自分で考え、リスクを取ってアクションできる人材を育てたい」と人材育成にも強い熱量で向き合う。 

山本氏の構想は明確。「楽しい時間を最大化するという理念にゴールはありません。新しい世代、新しい文化に合わせてサービスは変わるが、人間の一生における幸せな時間をどう増やすかという軸が常にあります」。地方創生、雇用創出、そして国境を越えた感動の提供。ドローンショー・ジャパンの挑戦は、日本のものづくりとエンターテインメントの新たな可能性を切り拓いている。 

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山本 雄貴(やまもと・ゆうき)氏
株式会社ドローンショー・ジャパン代表取締役