音の世界をデザインする「SoundUD」 ヤマハがコンソーシアム推進

「SoundUD」は、音のある空間とIT機器を繋ぎ、その空間にいる利用者にスムーズな 情報・サービスを提供する音の技術で、各地の交通機関や商業施設等で導入が進んでいる。 ヤマハ クラウドビジネスグループの担当者に、開発経緯と導入実例を聞いた。

文・矢島進二(日本デザイン振興会 常務理事)

 

ヤマハ クラウドビジネスグループの岩田貴裕氏、瀬戸優樹氏、井本智大氏、森口翔太氏(左から)

SoundUDは「全ての人が音の情報を平等に受け取ることができる社会を目指す」という音のユニバーサルデザイン化を実現するテクノロジーの総称で、主として、駅アナウンスの文字化、国際会議の多言語同時通訳、エンターテインメントの字幕、非常時における緊急情報などを、ユーザーが持つスマホに「音を文字として表示」させるサービスだ。

ヤマハで「着メロ」「着うた」や「ボーカロイド」など音に関連する新規事業を長年担当し、SoundUDの立ち上げから事業構想、プロデュースまでを担当するクラウドビジネスグループの瀬戸優樹氏に、この事業に着目した理由を聞いた。

「2つ理由があります。まず2013年に、オリンピック・パラリンピック東京の開催が決定し、政府は観光立国政策でインバウンド増を掲げましたが、外国人対応のインフラが未整備だったこと。また同じく2013年に『障害者差別解消法』が成立し、どの企業も取り組むべき状況になったことです。訪日外国人と障害者対応の2つの課題に対し、音の会社であるヤマハは何をすべきかを考え、出した解がSoundUDでした」

さらに瀬戸氏は「ビジネスの仕組みをどうデザインしていくかという、正に“ビジネスデザイン”の構築をずっと考えてきました」と言う。そして、SoundUDというコンセプトを2014年に起案し、ヤマハ単独で手掛けるのではなく、オールジャパン体制で社会全体の取り組みとして進めるべきと考え、コンソーシアム構想を練り、2017年に国内167社によって「SoundUDコンソーシアム」を立ち上げた。「外国客対応も障害のある方の対応も、各社同じ悩みを持っていたので、業界横断的に取り組み、共通の悩みを解決する仕組みをみんなで考えようと思ったのです」

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