日本が創るべき、世界に通じる「サステナブルな医療ビジネス」
医学・行政・ビジネスの観点から医療・ヘルスケア業界の事業戦略を考える本連載。今回は「サステナブル」の観点から求められるビジネスの姿を考える。高齢化・人口減少という国の持続可能性にかかわる問題を打開する鍵は、日本の医療界が長年培ってきたデータにある。
日本の課題・少子高齢化と人口減少
本連載では、いつも「どのように考えて新規事業を創るか」について書いていますが、今回は改めて、「なぜ新規事業を創らないといけいないのか」「新規事業を創るときにもっていてほしい基盤となる考え」を皆さんに共有したいと思います。
まず、日本の課題という観点から考えてみましょう。そこには数々の課題がありますが、大きく分類すると次の2つになると筆者は考えています。それは「少子高齢化」と「人口減少」です。両者はともに人的資本に類する課題で、健康で長く働き続けることができるような働き方に変えるために「働き方改革」が行われているわけですし、生産年齢人口が減るなかで競争力を確保していくために「生産性を高める」必要があるわけです。
これをふまえて医療分野に目を向けると、今の日本の医療システムは1960年代につくられたものであり、約60年経過した現在、制度やシステムがやや時代に合わないものになってきています。そのため、これからの未来にわたって持続可能な社会や医療を創るための新たな取り組みが必要なのだといえます。
また、医療費が激増していることや現場の医療者が疲弊していることなども、現状のままでは持続可能な状態ではないと考えています。高齢化率の増加によって医療や介護の需要は増え、それに伴い社会保障費も増大しているにもかかわらず、少子化によって生産年齢人口が減ることで全体として労働力が減少し、今と同じ方法で医療・介護を提供することは難しくなってきます。すでに現時点でも、医療現場では医師の長時間労働や過重労働が問題となっていますし、介護業界においては慢性的な人手不足が続いています。
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