編集部総論 農業の課題、解決する構想が必要

農業を持続可能にし、食料を供給し続けることが、人類にとってますます重要な命題となってきた。世界的な需要増が予測される中、国内では農業従事者数が減り、集約・大規模化が進む。先端技術を活用した新しいしくみのアイデア、それを実装するための構想が求められている。

 

日本の農業と食料供給は、未来に向けて大きなターニング・ポイントを迎えている。現在、食料・農業・農村基本法の改正に向けた議論が進んでおり、農林水産省が2023年5月に「中間取りまとめ」を公表したところだ。現行の基本法は1999年に制定されたもので、20年余りの年月を経ての改正となる。

増加する人口と食料需要
平時からの食料安全保障を

この20年で世界情勢は大きく変化した。まず、世界人口は60億人から80億人へと増加した。この人口の増加傾向はしばらく続く見込みで、2040年ごろには90億人に達すると国連世界人口予測では推定している。増加する胃袋を養うため、世界中でより多くの食料を生産する必要が出ている。農林水産政策研究所が2023年3月に発表した「2032年における世界の食糧需給見通し」によると、小麦・トウモロコシ・大豆・米の需要は10年後の2032年には現在よりも約15%増える。食肉に対する需要も増加する見通しで、牛肉で17%、豚肉で12%、鶏肉では22%増と予測している(図1)。

図1 世界の食糧需要見通し

出典:2032年における世界の食糧需給見通し
(農林水産政策研究所)

 

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