先端教育機構の3プログラム 文科省のリカレント教育事業に採択
コロナ禍で失業した人が新しい職を得るための支援事業に、事業構想大の「社内クリエイター」、「社内新規事業開発ディレクター」養成プログラムが採択された。自治体などと協力して、挑戦する人材を育成する。
文部科学省は、2021年6月11日、2020年度「就職・転職支援のための大学リカレント教育推進事業(就職・転職支援のためのリカレント教育プログラムの開発・実施)」の採択プログラムを発表した。この事業は、2020年からの新型コロナウイルス感染症の流行拡大、それに伴う社会の変化を受けて開始したものだ。
これまで多くの人を雇用してきた対面のサービス業は、感染症流行拡大から壊滅的な打撃を受けている。雇用構造の転換が進展する中で、非正規雇用労働者、失業者などへの支援が喫緊の課題となっている。文科省は、厚生労働省などとの連携を強化。全国の大学が、労働局・ハローワークや企業などと協働して、即効性の高いリカレント教育プログラムの開発から修了者の就職の支援までを一体的に提供する事業を実施することとした。そして2021年3月から4月にかけて、全国の大学・短期大学・高等専門学校を対象にプログラムの公募を行い、41大学66プログラムが申請を出した。その後、同プログラムの審査委員会が審査し、40大学63プログラムが採択となった。
先端教育機構 事業構想大学院大学が提案し、採択されたのは、「社内クリエイター」養成プログラムと、「社内新規事業開発ディレクター」養成プログラムの2つ。
「社内クリエイター」プログラムは、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた、旅行や外食などホスピタル産業に従事している・していた人を主な対象者とするプログラム。厚労省の定める要件を満たす場合には、職業訓練受講給付金の受給対象となる。社内クリエイター」とは、企業内において、ホームページやSNSの日常的な更新、商品やサービスの写真の撮影やアップロード、簡単なプレゼン動画の撮影や編集などを社内で迅速に対応できる人材をいう。今回採択されたプログラムでは、マーケティング思考とIT、Webリテラシーの両方を兼ね備えた人材の養成を目指す。
もう1つの「社内新規事業開発ディレクター」プログラムは、文科大臣が認定する職業実践力育成プログラム(BP)に相当する職業実践的・専門的なプログラムだ。コロナ後を見据えて、成長分野で新規事業開発に取り組む意欲のある若手人材を集めることを意図している。
このプログラムでは、企業内で新規事業を推進できる、ディレクター人材の養成を目指す。新規事業開発に必要な経営資源の分析力、アイデア発想力、事業構想力、プロジェクト推進に必要なコミュニケーション力などについて、基礎的な力を、プログラムを通じて身に付けさせる。
両プログラムとも、事業構想大学院大学の福岡校を拠点に、オンラインで東京・名古屋・大阪校とも繋ぎ、地域を問わず受講できるようにする。受講後の就職支援には、福岡労働局、福岡市、北部九州信用金庫協会なども協力する。「社内新規事業開発ディレクター」プログラムでは、福岡への移住希望者を含む若手人材を募集する計画だ。なお各プログラムへの参加については、ハローワークからの紹介や、事業構想大学院のウェブサイト、メールマガジンなどを通じて募集する。
先端教育機構 社会情報大学院大学の採択プログラムは、「Society 5.0の実現に向けた広報担当者養成事業」。あらゆる業種・業界において、広報担当者としての業務を遂行するために必要な能力を身に付けられるようにするものだ。
非正規雇用で働く人や失業者などが、企業の広報担当者としてキャリアアップできるよう、プログラムを通じて、組織における対外的・対内的コミュニケーション実務全般の基礎を教育していく。60時間(5カ月)の教育プログラムで、うち51時間はオンラインで授業を実施する。目的に応じた広報技法を選択し、理論を踏まえつつ実行できる能力を涵養していく。
対象者として想定しているのは、企業・行政・NPOなどの広報担当者、あるいは広報系事務員としての就職・転職を希望する人。こちらも、文科大臣が認定するBP相当のコースだ。