何事も面白がれることが成功への鍵 作家・浅田次郎の哲学

日本を代表する作家、浅田次郎。幅広いジャンルの作品を手がけ、直木賞をはじめ数々の賞を受賞し、ファン層も厚い。ベストセラーを世に送り続ける浅田がこの1月に発表した新作『母の待つ里』は5年ぶりの現代小説。新しい家族の形を描いた浅田は、急激に変化している今の社会をどう見つめているのか。

文・油井なおみ

 

浅田 次郎(小説家)

故郷なき都会人が見る本当の幸せの形

成熟社会とされながら経済格差が止まらない現代。多様性が認められ、「個」を尊重しながらも、自己表現や自己実現、自己責任など、「自己」が強いられる側面も否めない。と同時に、地域の繋がりはもちろん、家族の在り方までが問い質されてきた。

そんな中、世界はコロナ禍に見舞われ、価値観も一変。人と会うことが制限されたことで、家族と過ごす時間が増え、地方への移住やふるさとを見直したという話もよく耳にした。

浅田次郎の新作『母の待つ里』の主人公となるのは、経済格差が広がる都会で、仕事一筋に生き、成功を納めたリタイア世代の3人。故郷なき彼らが<理想のふるさと>で美しい自然や“母”の愛に触れるうちに、新たな生きる道を見つけていく物語だ。

<理想のふるさと>と新しい家族の形を描いた最新作『母の待つ里』/新潮社

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