アリストテレスの哲学から、事業構想の「テロス」を問う

思想史から事業構想を読み解く全3回連載の第1回。私たちは、そもそも何のために事業を構想し、事業を興すのか。古代ギリシアの哲学者、アリストテレスは「何のために」をテロス(目的・本質)と捉え、自らの本質を発揮する「善き生」に幸福を見出した。事業構想のテロスとは一体何なのか。

様々な学問の基礎を築き、「万学の祖」と呼ばれるアリストテレス

古代ギリシアで
アリストテレスが説いた「テロス」

果たして我々は何のために事業構想をするのだろうか。まさにこの「何のために」から哲学を説いたのがアリストテレスである。「何のために」は古代ギリシアでは「テロス」という言葉で捉えられ、それは「目的」や「本質」を意味した。例えば笛のテロスとは、音色が奏でられることである。笛は、オブジェとして鑑賞される「ために」存在するのではなく、楽器として演奏される「ために」存在する、というわけである。当たり前と言えば当たり前だが、テロスへの問いは、思考の過程で道に迷ったり身動きが取れなくなったりしたときに、物事の本質や原点へと我々を連れ戻してくれる。余計な観念をそぎ落とし、物事の存在理由や存在目的を明らかにしてくれるのだ。では、事業構想の「テロス」とは何なのか。本稿ではそれを考えてみたいのだが、さしあたり最大公約数的に「人々が幸福になるため」としておいて、話を進めることにしよう。

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