日本発の成果の実用化に向け iPS細胞技術の情報発信

京都大学の山中教授(現公益財団法人京都大学iPS細胞研究財団理事長)にノーベル賞をもたらしたiPS細胞。さまざまな難病の治療に道筋を開く可能性を持つiPS細胞が治療に使われるまでのハードルは高いが、日本発の世界に誇れる技術を実用化に導くために多くの人の理解と応援が欠かせない。

聞き手:小宮 信彦(事業構想大学院大学 特任教授、電通 ソリューション・デザイン局 2025事業推進グループ統括チーフ・ビジネス共創ディレクター)

 

中上氏(左)と、同財団業務執行理事 の高須直子氏

小宮 そもそもiPS細胞(人工多能性幹細胞)とはどんな細胞なのか。改めて教えてください。

中上 ヒトから採取した皮膚や血液などの体細胞にごく少数の因子を導入し、培養することで、様々な組織や臓器の細胞に分化し、ほぼ無限に増殖する能力を持つ幹細胞を人工的に生み出すことができます。これがiPS細胞です。iPS細胞には、主に2つの活用方法があります。1つ目は、難治性疾患の患者さんの体細胞からiPS細胞を作り、それを患部の細胞に分化させて病気の原因を解明するなど、薬の開発に向けた活用。2つ目は、iPS細胞から患者さんの治療に必要な細胞を作って移植する、再生医療です。当財団では再生医療の分野で、iPS細胞技術の実用化を目指す研究者や企業の活動をサポートしています。

iPS細胞は患者さん自身の細胞から作ることができるので分化した組織や臓器の細胞を移植した場合に拒絶反応のリスクが最小となることが期待されています。

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