現場から生まれるアイデアに光を 経営戦略と直結する提案制度

“よく生きる”を企業理念に、60年以上にわたり教育や介護など幅広い事業を展開するベネッセHD。今年4月に就任した小林仁社長のコミットの下、新規事業・業務改革提案制度を開始している。

松原 弘樹 ベネッセHD 経営戦略室「B-STAGE」事務局PMO

経営戦略実現のための提案制度

創業当初より、「現場発」で顧客の課題解決、業務課題の解決を実現する組織風土を大切にしてきたベネッセHD。アイデア募集や提案制度の歴史も古く、様々な取り組みが行われてきた。

一方で、従来の制度はその時々の経営課題解決が目的で、一貫して続いているものはなかった。

経営戦略室の松原氏は「これまでの提案制度を振り返り、他社の成功事例とも比較して、恒常的に続く提案制度として新たにスタートしたのが『新規事業・業務改革提案制度(B-STAGE)』です」と話す。

ベネッセHDでは昨秋、中期経営計画を発表している。同計画では、既存事業の成長(オーガニックな成長)と同時に、既存領域とは離れた領域での成長(インオーガニックな成長)を掲げる。

「インオーガニックな成長を考えた場合、現場から多様なアイデアを募る『B-STAGE』は欠かせない制度です。中期経営計画の実現に直結する提案制度として、社長である小林が旗振り役となり、経営戦略の1つに位置づけています」

事業化に向けた支援体制を充実

『B-STAGE』は新規事業提案部門と業務改革提案部門の2部門に分かれ、新規事業提案部門では、飛び地と言われる全くの新規領域も含め、幅広い提案を募集する。エントリーは1人からでき、複数の提案への参加も可能。さらに、社外の人材と組むこともできるなど、柔軟性の高い設計となっている。エントリー時の提出書類もテキストだけのペーパー1枚のみと、参加へのハードルは極力下げた。

「どんなアイデアも見逃したくない。現場の多様な問題意識を吸い上げ、新たな事業につなげたいと思っています」

選考過程はエントリー受付後、書類選考による一次審査の後、プレゼンによる二次審査、最終審査のピッチコンテストへと進む。二次審査を通過した提案には経営陣や外部パートナーのフォローをつけ、市場調査やプロトタイプ作成の予算も付与する。これは、従来の提案制度で事業化の支援が薄かったという反省があったためだ。

「『B-STAGE』では、事業化に向けた支援体制を特に充実させています。事業戦略、事業基盤、スタッフ部門など、全てがプロジェクトにかかわり、企画へのアドバイス、サポートができる体制を整えています」

経営陣からも社員へ参加を呼びかけ

今回の提案制度には、小林社長自らが強くコミットしている。『B-STAGE』を推進する経営戦略室では、小林社長をはじめ、経営陣の思いを現場にダイレクトに伝えるべく、提案制度に関するメッセージ動画を配信。アイデアを引き出すための説明会やワークショップも数多く開催して社員全員の参加を呼びかけ、初年度のエントリー総数は当初目標を大きく上回る1700件を達成した。

選考では、顧客の声に対し課題解像度の高い提案になっているかどうか、企業理念、パーパス、サステナビリティの実現につながる事業かどうかが重視される。

「制度の継続は、ここで生まれたアイデアが実際に事業化できるかどうかにかかっています。アイデアが生まれ、実行できる土壌づくりを進め、経営計画の実現を後押ししたいと考えています」

 

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