ベネッセコーポレーション×鳥取県 多様化する求職者のキャリアを支援

鳥取県は、求職者に向けたスキルアップ支援として、ベネッセの提供するオンライン動画学習サービス「Udemy Business」の利用を開始し、学習管理やキャリア支援などを行っている。県の商工労働部 産業人材課の担当者に、導入の背景と手ごたえを聞いた。

先端分野のスキルをオンラインで

鳥取県では、求職者が習得したいスキルを自由に選択し、学んでキャリアにつなげてもらいたいという狙いから、「必要なスキルをオンライン学習で身につけて、就職してもらう」オンライン学習受講促進事業をスタートしている。鳥取県庁で求職者への職業訓練や実務者研修の企画実施を行う商工労働部 産業人材課の田中拓也氏は導入の背景についてこう語る。

田中 拓也 鳥取県 商工労働部 産業人材課

「以前は業種や職種に紐づいた集合研修がメインでしたが、コロナ禍によって感染拡大を防ぐために集合研修は実施が難しくなり、いかに安定して人材育成を実施していくかが課題でした。また、昨今はテクノロジーの進化によって、WebデザインやITスキルなどの先端分野のコンテンツに対する学習ニーズがある一方で、県としては先端分野の研修講師が不足しているという問題もありました。さらに中長期の目線では、鳥取県も人口減少によって労働力が減っていくため、女性や高齢者など現在仕事に就いていない方がうまく働けるような流れもつくりたいと思っていました。そんななか、ベネッセからオンデマンドで求職者が学びたいコンテンツを自由に学習できる仕組みを提案していただき、『Udemy Business』を採用させていただくこととなりました」

Udemyの画面イメージ

鳥取県の導入の決め手になったのは、1つはITスキルなど最新の内容を含む多様なコンテンツを保有しており、求職者が学びやすい環境になっていること、もう1つは求職者へのきめ細かいフォローを行うため、学習履歴を把握できる学習管理システムを備えていることだ。

スキルアップと就職サポートの
両輪で求職者を支援

「求職者の方が学んで就職をするには、目的に沿った学び方と就職に向けたフォローアップを組み合わせることが望ましいと思っていました」と田中氏は語る。

そこで鳥取県では地域単位で求職者をフォローするサポート事業者と連携し、スキルアップ支援と就職サポートの2つの求職者支援を行うような仕組みをつくった。スキルアップ支援では、めざすキャリアから逆算した学習カリキュラムの設定やつまずきポイントのフォローアップまでを、就職サポートではキャリアコンサルティング、履歴書の書き方の指導、現在の求人情報の提供などを実施し、求職者が就職するまでしっかりと支援できる形とした。学習効果の向上のため既存の職業訓練や集合型研修などと連携していくことも重要だ。

求職者を支援するサポート事業者に対して「Udemy」は比較的スムーズに浸透したという。導入後の反響としては、時間や場所に関わらず受講者のペースで学ぶことができたり、これまでカバーできなかった分野を学ぶことができるという点で評価が高く、また従来行ってきた職業訓練などのテーマに紐づく内容の予習復習、その周辺領域の学びも網羅しているため、集合研修との連動も期待できるという。

鳥取県での求職者支援講座の開講イメージ

今後より事業を効果的に進めていくための取り組みとして、次の2つを挙げている。1つは6,800ものコンテンツから、特に先端分野の内容について、県やサポート事業者が求職者に適切に案内できるよう特徴を捉えていくことで、もう1つはオンライン学習に加えて、求職者との対話の機会を設け、モチベーションの維持ができるような仕組みをつくることだ。求職者の方が学んだことをしっかりと実務につなげられるような環境を創出する施策も検討している。

データを活用し、
次の施策へ

「現在の学習者の傾向をまとめてみたところ比較的女性の方が多く、子育て中の方もいることから、仕事復帰のための準備として活用されていることがわかります。またサービス業や工場生産などに従事する方が事務職へキャリアチェンジをしたいというニーズもあるようで、事務職に必要なコンテンツの視聴数も伸びています。他には就職ではないものの、フリーランスへ転身し、都市部の業務を受託している方もいるようで、県の事業としては雇用の促進が目的であるものの、求職者の新たな働き方につながるという意味ではこちらも効果が上がっていると思います」と田中氏は手応えを語る。

今後、県としては「Udemy」を人材育成の機会として提供するだけでなく、次に行う研修などの施策を検討するデータとしての活用をめざしている。求職者支援では、求職者単位で「何を学んでいるか」というデータの取得が可能なため、蓄積した学習履歴データを今後実施する集合研修の内容に活かすことも考えているという。

コロナ禍で加速した、WebデザインやITツール活用などの先端分野のスキル。学びなおしによるキャリアチェンジや今まで以上に求職者に求められるスキルは増えているなかで、自治体として地域の人材のリスキリング支援が今後も加速していくだろう。

ベネッセの自治体向け人材育成支援とは
ベネッセコーポレーションでは2020年12月より、「Udemy Business」を活用した行政・自治体向け人材育成プログラムを提供しています。「Udemy Business」は、DXからビジネススキルまで日本語及び英語による約6,800講座をサブスクリプション(定額制)で利用できる学習サービスで、2019年6月のサービス開始後、国内約550社以上、日経225に登録されている40%以上の企業で導入されています。2022年3月時点で鳥取県、三重県、相模原市、神戸市、大分市を始めとする多くの自治体で活用いただいており、行政職員や、行政を通じた企業や市民のIT知識・スキルの向上にお役立て頂いています。

 

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