はくばく 「やってみろし」の精神で拓く、穀物の新市場
⼤⻨やもち⻨、雑穀など穀物を⽤いた⾷品を開発・販売するはくばく。⽶の⾃由化で激変した市場環境を乗り越え、機能性などを訴求する新たな穀物市場を切り開いた。新市場開拓に⾄る着眼点と、変化に適応する組織のあり⽅について、代表取締役社⻑の⻑澤⽒に聞いた。
「米の自由化」で迫られた販売チャネル変更
はくばくは1941年に山梨県で創業。健康によい大麦を多くの人に美味しく食べてもらいたいという思いから1953年に開発したのが、大麦の粒を半分に切って黒い筋を取り除いた『白麦米』で、はくばくという社名はここに由来する。
1960年代、高度経済成長期に入ると、米の需要が伸びる一方で大麦の消費は激減。穀物会社は大麦の取り扱いを次々と止めていった。しかし、はくばくは創業時の信念を守り、製粉や製麺、家畜飼料などさまざまな事業を展開しながら、現在まで大麦を扱い続けてきた。
80年の歴史の中でも、1995年の食糧法改正による販売チャネルの変化は同社の大きな転機となった。それまで米穀は米穀店でしか販売できなかったが、法改正でスーパーなどの量販店でも販売できるようになったのだ。
実は改正前の1990年、はくばくは大麦にカルシウムをコーティングした新商品〈骨太家族〉をスーパーで販売している。この時、主力販売ルートである米穀店から苦情が出ただけでなく、社内でも米穀店に配慮してスーパーでの販売を止めてほしいという意見が出た。3代目社長の長澤重俊氏がはくばくに入社したのは、そうした変革期まっただなかの1992年だった。
「変革期にはそういう板挟みのようなことが起こるのが当然ですから、そこを抑えながらスーパーに転換していきました。現在、米穀店ルートの売上は200億円のうち15億円ほどです。販売チャネルを変更していなかったら、今のはくばくはなかったでしょう」
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