JFEホールディングス 超革新プロセスへの転換を目指す

粗鋼生産国内2位のJFEホールディングス。2025年5月に公表した新ビジョンでは、カーボンニュートラルに向けたトップランナーとして、2035年までに革新プロセス転換技術の開発を完了させることを目標に掲げる。製鉄のGHG排出削減に向けた取組と、それを支える商品の高付加価値化戦略について聞いた。

北野 嘉久(JFEホールディングス 代表取締役社長)

統合以来、最も厳しい事業環境
長期ビジョンで方針示す

JFEホールディングスは、日本鋼管と川崎製鉄が2002年に経営統合して誕生した持株会社で、傘下に鉄鋼事業のJFEスチール、インフラ構築などのエンジニアリング事業を手掛けるJFEエンジニアリング、商社機能を担うJFE商事を持つ。

このうち、売上収益の6割はJFEスチールの鉄鋼事業に由来する。同社の生産拠点は、自動車用鋼板やステンレス鋼板など、高付加価値品を製造する東日本製鉄所(千葉地区、京浜地区)、世界最大級の生産規模を誇る西日本製鉄所(倉敷地区、福山地区)、鋼管を製造する知多製造所(愛知県半田市)、電炉で棒鋼や線材を専門に製造する仙台製造所(宮城県仙台市)と国内各地に展開。粗鋼生産量は国内2位、世界14位の規模を誇る。

現在の鉄鋼業界を取り巻く環境は厳しい。建設需要は資材コスト上昇や人手不足などに伴って減少するなど国内の需要は低迷している。加えて、世界最大の粗鋼生産国である中国の過剰生産が市況下落と価格競争の激化を引き起こしている。ピーク時に年間1億トンを超えていた国内の粗鋼生産量は、2024年度は8295万トンとコロナ禍の2020年度を除くと過去55年ぶりの低水準となった。

「2002年の経営統合以来、最も厳しい事業環境に置かれている今こそ、私たちの存在意義を明らかにすべく、事業会社ごとにパーパスを策定し、2025年5月には長期ビジョンを公表しました」とJFEホールディングス社長の北野嘉久氏は話す。この「JFEビジョン2035」では、2050年のカーボンニュートラル達成に向け、技術開発に巨額の投資が必要なため、事業利益増大と、カーボンニュートラルに向けた技術開発のトップランナーになることを最大のテーマに位置付けた。

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