「ビジネスデザイナー」を育成へ新学部を設立 桃山学院大学

大阪府和泉市にメインキャンパスを置く文科系総合大学の桃山学院大学は、2021年に新学部「ビジネスデザイン学部(大阪市阿倍野区)」を設置した。同学部牧野丹奈子教授と嶋田剛大学企画担当部長の2人に、設置の背景と成果を聞いた。

(文・矢島進二 日本デザイン振興会 常務理事)

牧野 丹奈子 桃山学院大学ビジネスデザイン学部教授(左)、
嶋田 剛 同大学企画担当部長(右)

「ビジネスデザイン」をテーマとする本連載は4年前に開始したが、当時このワードは一般化されてなかった。しかし昨今広範囲に広がり始め、部署名とする企業は、富士通、KDDI、JR西日本、NTT西日本、三井住友海上火災保険など枚挙に暇がない。また「ビジネスデザイナー」を名乗る起業家も急増している。人材を育成する教育機関の必要性も説いてきたが、専修大学など、ビジネスデザイン学部・学科の新設も増えている。今回紹介する桃山学院大学も、6学部目として「ビジネスデザイン学部」を新たに設けた。

現在は教授である牧野氏は、この3月まで学長を務めた同学部設置の中心人物だ。まず牧野氏から経緯を聞いた。「新学部の計画は2016年冬からスタートしました。最初に挙がったトピックスは『大企業の時代が終わった』ということでした。組織に頼る時代の終焉に対して、どういう学びを本学ですべきかを討議しました。その時にでたキーワードが『起業』で、その本質を考えて辿り着いた概念が『ビジネスデザイン』でした。もう一つ『地域創生』も挙がりましたが、これからの地域行政もトップダウン型ではなく、小さなプロジェクト型に移行すると考え『ビジネスデザイン』に集約ができると考えました」

そして、牧野氏は嶋田氏を含めた横断的なプロジェクトチームを推進母体とし、大学開学60周年にあたる2019年に関西初の「経営学部ビジネスデザイン学科」を新設。2021年には入学定員を70名から200名に拡大、「ビジネスデザイン学部ビジネスデザイン学科」として新たにスタートした。

当時はビジネスデザインを名乗る学校はほとんどなく、また美術系ではない大学でデザインを称することで、高校生や保護者に誤解を与えないかとの不安が少しあったそうだ。

しかし、牧野氏は「私は工学部出身ですが、“デザイン”にはとても強い想いをもっています。デザインが持つ真善美といった価値観に基づく信念は、イノベーションを起こすには必須だと考えています」と話す。社会課題を解決するためには、そうした信念が必要で、分析や研究で終わるのではなく、社会の中で実装させるところまで携わる人材を育成したいと強く思っていることを察した。

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