時事テーマから斬る自治体経営 「県の役割」における注意点

都道府県と市町村の関係は、かつて「上下・主従」の関係と言われていたが、2000年の地方分権一括法の施行により、「対等・協力」の関係へと変化した。同法により、地方自治体が自主性・自律性を高めたことは大きな意義があるものの、一方で、都道府県と市町村の関係性には新たな課題も出てきている。

前置きがやや長くなるが、お付き合いいただきたい。

筆者のフィールドは市町村である。過去20年以上、基本的に市町村をベースとして、実践的な地域づくりに取り組んできた(たまに特別区もある)。市町村の中でも、条件的に恵まれない基礎自治体を対象にし、それなりに成果を導出してきたと自負している(もちろん、筆者の力が及ばず、成果の出なかった事例もある。当該自治体には申し訳ない思いである)。

一概に「地域づくり」と言っても多様な概念がある。筆者がイメージする地域づくりは、地方創生やシティプローションなども入る。地域づくりを主体的に担当するのは、自治体職員である。そこで職員採用や離職防止にも関心がある。職員のモチベーションアップや政策形成能力向上も実践的に取り組んでいる。

さらに、地域づくりは自治体単独ではできない。民間企業やNPO法人、大学に加え、地域住民の協力なくしては進まない。そのため市民参加や協働、共創なども、筆者の範疇に入る。

ここからが本題である。筆者は自治体が取り組む地方創生(地域づくりの一つ)を後方支援してきた。今までは市町村が多かったが、近年は県や政令市からも問い合わせが増えている。今月(3月)は、多くの県や政令市から問い合わせがあり、地方創生担当者と意見交換をした(年度末のため、予算消化の意味合いがあるのだろう)。

県の担当者と何度か意見交換をして、思うことがある。たまたま筆者が意見交換した担当者の性格が、そういうものだったかもしれない。今回は、筆者の身近な経験をもとに、県が市町村と連携する際の注意点に言及したい。なお、本稿は県をディスっているのではなく、エールを送っていることを最初に述べておきたい。

全文をご覧いただくには有料プランへのご登録が必要です。

  • 記事本文残り74%

月刊「事業構想」購読会員登録で
全てご覧いただくことができます。
今すぐ無料トライアルに登録しよう!

初月無料トライアル!

  • 雑誌「月刊事業構想」を送料無料でお届け
  • バックナンバー含む、オリジナル記事9,000本以上が読み放題
  • フォーラム・セミナーなどイベントに優先的にご招待

※無料体験後は自動的に有料購読に移行します。無料期間内に解約しても解約金は発生しません。