果実の葉を天然繊維に ファッション業界の改革を目指す

ファッション業界は、原料調達段階や製造段階での大きな環境負荷や、発展途上国の農場・工場での児童労働問題、流通後の大量廃棄など多くの課題を抱える。フードリボンは、パイナップルの葉やバナナの茎を活用した天然繊維で、ファッション業界の課題解決に挑むスタートアップだ。

フードリボンは、東南アジア諸国や台湾と連携し、農家が廃棄していたパイナップルの葉などを線維化した「ファーマーズテキスタイル」の普及を目指す

農家からの廃棄物をコットンの代替品に

2017年に創業し、沖縄県那覇市から車で1時間半の大宜味村に本社を構えるフードリボンは、農業とファッション産業の課題を解決する天然繊維「ファーマーズテキスタイル」の普及に取り組むスタートアップだ。2022年7月に開かれた日本最大級のピッチコンテスト「IVS2022 LAUNCHPAD NAHA」で準優勝を勝ち取り、大きな注目を集めている。

フードリボン代表の宇田悦子氏。7月に開催された「IVS2022 LAUNCHPAD NAHA」では準優勝を受賞

世界で流通する衣類の素材は、60%が化学繊維、40%が天然繊維からできている。天然繊維の代表がコットンだ。コットンの原料である綿花の栽培では大量の水資源が使われており、また、農業のなかで農薬使用量が最も多く、発展途上国のコットン農場で児童労働が多数発生しているなど、さまざまな問題を抱えている。

主要な天然繊維であるコットンは、大量の農薬使用などの課題を抱える( 写真はイメージ)

一方の化学繊維も、海洋ゴミ(マイクロプラスチック汚染)の原因のひとつであるなど課題は多い。そこでファッション業界では近年、オーガニックコットンなどのサステナブルな天然繊維の需要が拡大している。しかしオーガニックコットンの栽培には、無農薬化に約3年間かかり、無農薬化に伴う収穫量や品質の低下、認証取得の手間などハードルが高い。世界のコットン生産量は2700万トンだが、オーガニックコットンの普及率は1%以下(30万トン)にとどまる。

この問題を解決する農業資源としてフードリボンが利活用を目指しているのが、これまで捨てられていたパイナップルの葉やバナナの茎だ。パイナップルの葉は果実の2~3倍(約6000万トン)、バナナの茎は果実の10倍(約10億トン)も排出されている。これらを繊維化することには、世界の全コットンの生産量に匹敵する大きなポテンシャルがある。

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